2007 Fiscal Year Annual Research Report
ミクログリア亜種が示す異なった神経保護作用:細胞系譜の解析と疾患治療への応用
Project/Area Number |
18053019
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中山 仁 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (70088863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國安 明彦 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 准教授 (90241348)
川原 浩一 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教 (10347015)
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Keywords | ミクログリア / サブタイプ / アルツハイマー病 / 抗炎症性サイトカイン / 酸化ストレス / 特異的抗体 / 脳虚血 / 神経細胞 |
Research Abstract |
我々は、「ミクログリア(MG)が示す神経保護作用では2型MGとよぶサブタイプが大きく寄与している」ことを、基礎的・応用的視点からより明確に示すべく研究を進めている。 1.In vitroで見い出した抗炎症性サイトカイン(IL-4,IL-13)で活性化された2型MGのAβ(オリゴマー状)クリアランス能誘導とその効果をin vivoで評価するために、アルツハイマー病モデルマウスの一つAPP23マウスを用い、Aβ蓄積量が異なる月齢(4.5、6、9ヶ月齢)でAβクリアランス能とその記憶学習能力改善効果を比較した。その結果、Aβ繊維化が進行していない4.5月齢では有意に、また6月齢でも効果を認めた。しかし、繊維化が進んだ9月齢では効果がみられなかった。注入側でAβ蓄積量が減少したAPP23マウスの多くでは、行動に改善が見られた。IL-4/IL-13で誘導されるミクログリアでのAβクリアランスは、AD新規治療法の一つとなる可能性が示された。 2.我々が開発した1型MG特異的モノクローナル抗体(9F5)を用いて以下の知見を得た。ラット新生仔脳から調製・分離した1型および2型MGをLPS/IFNγで処理したとき、炎症性応答iNOSの誘導は1型がはるかに高い結果は既に報告している。同じ刺激に対するin vivoでの応答を調べるため、ラット左脳にLPS/IFNγを微量注入し、NO産生に関わるiNOS、Arginase Iの時間変化と、それらがどのMGに対応するのかを免疫組織染色で解析した。iNOS陽性MGは刺激後24hでピークとなるが、Arginase I陽性μGはこれより遅れて観察されることから、NO産生を抑えるArginase Iの役割が改めて示された。また、これらのNO産生MGはほとんどが1型であることも示しえた。
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