2007 Fiscal Year Annual Research Report
BMP受容体シグナリングを介した小脳プルキンエ細胞のグリア細胞機能制御
Project/Area Number |
18053024
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山田 真久 The Institute of Physical and Chemical Research, 山田研究ユニット, ユニットリーダー (60321832)
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Keywords | アストロサイト / 骨形成因子 / 血液脳関門 / VEGF / BMP / BMPRIA / BMPRIB / XIAP |
Research Abstract |
我々は、脳組織において細胞間で働く骨形成因子(BMP)の神経機能発現における役割を検討した。その結果、(1)BMPは生後の脳組織において脳血管形成および脳血管の安定化に寄与していることが明らかとなった。脳血管形成初期(胎生17日目から生後10日目の間)において、アストロサイトが放出する血管新生因子VEGFの遺伝子発現に関与していることが分かった。アストロサイトのBMPシグナルが活性化することによってVEGFの発現は抑制され、血液脳関門の安定化に働く。また、(2)BMPは反応性アストロサイトの増殖活性に関与することを示した。神経組織損傷において、損傷を受けたアストロサイトは自らBMPを放出し、自身の細胞表面に存在するBMP受容体を介してBMPシグナルが活性化される。この受容体刺激のうちBMPRIA受容体を介した刺激は、反応性アストロサイトの増殖に関与することが明らかとなった。このBMPRIA受容体はXIAP分子との結合することによりp38MAPキナーゼやERKを活性化し、反応性アストロサイトの増殖を促進した。一方、同一アストロサイトに発現するBMPRIBはXIAPと細胞内で結合しない、また細胞を分化の方向へ促進することが分かった。従って、細胞内のシグナル違いがBMPシグナルの表現型の違いを生ずることが明らかとなった。この発見は、従来しられていた細胞外のリガンドが拮抗することによる細胞機能制御以外に受容体の違いが表現型に違いをもたらす新たな発見である。
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