2006 Fiscal Year Annual Research Report
皮質アストログリア細胞の生体内(イン・ビボ)での動態計測
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18053026
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
平瀬 肇 独立行政法人理化学研究所, 平瀬研究ユニット, ユニットリーダー (90392084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三嶋 恒子 独立行政法人理化学研究所, 平瀬研究ユニット, 研究員 (90415307)
高田 則雄 独立行政法人理化学研究所, 平瀬研究ユニット, 研究員 (50415212)
酒谷 誠一 独立行政法人理化学研究所, 平瀬研究ユニット, 研究員 (40391958)
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Keywords | グリア / アストロサイト / 神経活動 / 大脳皮質 / 海馬 / カイニン酸 / 細胞外記録 / in vivo記録 |
Research Abstract |
S100Bはアストログリアに顕著に発現しているカルシウム結合蛋白質である。これまでのS100B遺伝子改変マウスを用いた先行研究から、S100Bがシナプス可塑性や学習に関与していることが報告されている。今回、活動中の神経回路においてこの蛋白質の生理的役割を明らかにするため、野生型およびS100B欠損マウス間で、麻酔下およびカイニン酸誘発性けいれん発作状態(kainic acid induced seizure)における皮質と海馬の自発脳波を比較した。記録には、100□m刻みで縦に16チャネル並んだシリコン電極を用い、電極先端が海馬の歯状回の顆粒細胞層付近に到達するまで挿入した。 皮質における徐波(0.5-2Hz)および海馬におけるシータ波(3-8Hz)および鋭波に伴う速いリップル振動(120-180Hz)といった典型的な脳波振動パターンが、両方の遺伝子型で観測された。皮質における徐波の振動パターンはS100Bの遺伝的欠損の影響を受けなかった。同様に、海馬のシータ波およびリップル振動は野生型と欠損型の間で有意な差がなかった。しかし、カイニン酸腹腔内投与後に海馬CAl野放線層(str.radiatum)で発生するガンマ帯(30-80Hz)の発作活動において、その振幅が欠損型で顕著に小さかった。これらの結果から、通常の自発神経活動中ではS100B欠損による顕著な影響はないが、カイニン酸により神経活動が十分に上昇した場合にはS100B関連経路が活性化され、その結果、神経活動が調節を受けることが示唆された。
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Research Products
(2 results)