2006 Fiscal Year Annual Research Report
バクテリオファージMuを構成するサブユニットの構造解析
Project/Area Number |
18054005
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
武田 茂樹 群馬大学, 大学院工学研究科, 助教授 (80282854)
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Keywords | バクテリオファージ / X線結晶解析 / 自己組織化 / 超分子 / 分子機械 |
Research Abstract |
バクテリオファージMuは大腸菌に感染する好熱菌ファージであり、正二十面体の頭殻と、収縮性の尾鞘を持つ。我々はこれまでMuファージの基盤サブユニットgp44のX線構造解析を行った。今回はMuファージ基盤サブユニットのgp45とそれと相同と考えられるP2ファージのgpVおよび好熱菌ファージTMAのgp12の発現及び精製を行い、結晶化を試みた70℃でも生育可能なΦTMAのサブユニットは熱に対して安定であると考えられ、X線結晶解析のためのよい試料となると考えられる。 Muファージgp45、P2ファージgpV、TMAファージgp12はいずれも組み替え体として精製し、収量は3.5mg/Lであった。精製された試料についてそれぞれ384通りの溶媒条件で結晶化を試みた。その結果、Muファージgp45で4通り、P2ファージgpVで2通り、TMAファージgp12で2通りの条件で結晶様の粒子が観察された。P2ファージgpVの結晶様試料についてSDS-電気泳動を行い、それがタンパク質であることは確認できたのでX線回折を試みたが、有意な反射は見られなかった。 3つの相同タンパク質について精製条件を確立し、結晶化を開始することができた。微小な結晶様粒子は得られるようになったので、今後もX線構造解析のための結晶化条件を検討していきたい。好熱菌のファージであるTMAファージのgp12は変性温度が約63℃と、比較的熱安定的なタンパク質であることが分かった。好熱菌タンパク質はよい結晶が得られ、X線結晶解析のよい試料となることが知られているので、TMAファージのサブユニットについてもMuファージサブユニットと同様に今後光散乱及び超遠心による分子量測定やX線結晶解析を行い、他のファージのサブユニットと比較していく予定である。予備的な実験では超遠心分析や光散乱分析から、今回精製した3つのサブユニットはいずれも凝集体をつくりやすいことがわかったので、結晶化中の凝集を防ぐ条件の検討が重要であると考えられる。
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