2006 Fiscal Year Annual Research Report
不均一系超分子における分子認識機構を解明するNMR戦略の開発
Project/Area Number |
18054006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大澤 匡範 東京大学, 大学院薬学系研究科, 助手 (60361606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋田 一夫 東京大学, 大学院薬学系研究科, 教授 (70196476)
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Keywords | 超分子 / NMR / 不均一系 / 構造生物学 / 相互作用解析 |
Research Abstract |
(1)MASに耐えうる超分子モデル試料の調製法の確立 MASにより、脂質二重膜などの不溶成分の共存に起因するNMRシグナルの広幅化を解消できる。しかし、不溶成分は数kHzのMASにより遠心力を受け試料管内で分離してしまうため、タンパク質をビーズに固定化することとした。検討の結果、多孔性シリカビーズが適していることが判明した。KチャネルGIRK細胞内ドメイン(以下、GIRK)を、そのN末端に付加したHisタグを介して、Zn-NTA-シリカビーズに固定化したところ、pH 6-8においてビーズから解離しないことがわかった。このビーズに固定化したGIRK(以下、B-GIRK)を用いて、GIRKと結合するspermineのtrNOEを観測したところ、NOE強度・生成速度ともに溶液中のGIRK-spermineより顕著に大きかったことから、DD相互作用が亢進した超分子モデルの作成に成功したと結論した。 (2)交差緩和のMAS回転速度依存性の検討 次に、B-GIRKとの結合時に生じるspermine分子内のtrNOEをDD相互作用の指標として、DD相互作用のMAS回転速度に対する依存性を検討した。GIRKは、均一2H標識し、溶媒は重水バッファーとすることで、spermineの磁化緩和経路を限定した。3〜9kHzのMAS条件下で、MAS回転速度の上昇に伴い、trNOEの強度・生成速度ともに減少した(図1)。このことは、技術的に可能なMAS回転速度の範囲内で、DD相互作用の減弱が起こることを示しており、MASをTCS法に適用することで、ビーズに固定化した超分子と溶液中のリガンドとの構造生物学的相互作用解析が可能となることが期待される。現在、ビーズに結合した系でTCS法を行うためのモデル系を作成中である。
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