2007 Fiscal Year Annual Research Report
巨大モーター蛋白質ダイニンのX線による原子レベル構造研究
Project/Area Number |
18054008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
栗栖 源嗣 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (90294131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志波 智生 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教 (80401206)
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Keywords | X線結晶解析 / 分子モーター / エネルギー変換 |
Research Abstract |
ダイニンはATP依存的に微小管上を滑り運動するモーター蛋白質で、重鎖・中間鎖・軽鎖から構成される1000kDaを超える生体超分子複合体である。鞭毛運動や繊毛運動、さらに蛋白質輸送や染色体分離運動を担うモーター蛋白質であり、その生物学的重要性は極めて高い。しかしながら、ダイニンの分子量が巨大であるが故に同じモーター蛋白質のキネシンやミオシンと比べて運動機構の解明が遅れている。 細胞質ダイニンの微小管と結合する領域は、長いcoiled-coil領域によってATPの加水分解を行う球状ドメインと繋がれている。この微小管と結合するドメイン(coiled-coil領域を含む)はストークドメインと呼ばれている。100Aを超える長さを持つcoiled-coil構造が微小管結合とATPの加水分解という2つの連動したイベント情報を相互に伝えていることは間違いないが、その情報伝達の分子基盤については明らかになっていない。そこで、豊島陽子教授(東大院総合文化)と共同で、並行して細胞質ダイニンストークドメインのX線結晶解析を行っている。再現性良く棒状の結晶を得ることに成功し、ゆっくり3日間かけて結晶化ドロップの状態で抗凍結剤を導入したSe-Met置換体結晶を使って3.2Å分解能の良質のMADデータを収集した。MAD法により初期位相を決定することに成功し、coiled-coil領域の電子密度図を得ることに成功した。現在、より高分解能の回折強度データを集めるべく、末端アミノ酸を少しずつ削り込んだ4種類のコンストラクトを作成し、結晶化を進めている。また、今後、モデル構築を進めるとともに更なる高分解能データを収集し、原子分解能での構造解析を目指す予定である。
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Research Products
(4 results)