2006 Fiscal Year Annual Research Report
分子シミュレーション支援による生体超分子複合体の構造機能相関の理論的研究
Project/Area Number |
18054013
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鷹野 優 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (30403017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 春木 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (80134485)
米澤 康滋 大阪大学, 蛋白質研究所, 特任研究員 (40248753)
大島 勘二 大阪大学, 臨床医工学融合研究教育センター, 特任研究員 (40437330)
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Keywords | チトクロムc酸化酵素 / モノアミン酸化酵素A / 密度汎関数法 / 分子動力学法 / 分子軌道法 |
Research Abstract |
今年度は、分子軌道法や分子動力学法を用いて(i)チトクロムc酸化酵素のプロトン輸送経路の解明および(ii)モノアミン酸化酵素Aの基質の取り込み機構の解明を試みた。 i)チトクロムc酸化酵素のプロトン輸送経路 呼吸の電子伝達系にあるチトクロムc酸化酵素のプロトン輸送経路として提案されているH経路ではペプチド結合を介したプロトン移動が関わっている。我々は分子軌道法を用いてその反応経路を調べた。プロトン移動にはheme aプロピオン酸基のプロトン親和性の減少が必要であることを明ちかにした。つづくケト・エノール転位では水分子や周りの残基を利用してプロトンの受け渡しを行うプロトンワイヤモデルで起こりうることがわかった(Takano and Nakamura Chem.Phys.Lett. 2006)。また密度汎関数法によるheme aの電子状態計算から、heme aの酸化還元変化がプロトン移動に関わるペプチド結合やArg38と相互作用するheme aのプロピオン酸基やホルミル基の電荷の変化と対応していることが確認された。このことからheme aの酸化還元がプロトン輸送の制御に関わっているのではないかと推察される。 ii)モノアミン酸化酵素Aの基質の取り込み 脳内ホルモンの分解を触媒するモノアミン酸化酵素Aの、基質の取り込み機構を明らかにするために膜分子をあらわに取り扱った分子動力学シミュレーションを行った。現在20nsのシミュレーションが終了しており、主成分解析を行ったところ、低振動数のモードに関わる三つのドメインを同定することができた。これらのドメインは実験から推測されているドメインと対応しており、ドメイン間のゆらぎが基質が入ると考えられる空洞を構成するアミノ酸の相互作用を緩和することが明らかとなった。このようなゆらぎにより基質を活性部位へと導く経路が形成されると考えている。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Utilization of methyl proton resonances in cross-saturation measurement for determining the interfaces of large protein-protein complexes.2006
Author(s)
Takahashi, H., Miyazawa, M., Ina, Y., Fukunishi, Y., Mizukoshi, Y., Nakamura, H., Shimada, I.
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Journal Title
Journal of biomolecular NMR 273
Pages: 2730-2748