2007 Fiscal Year Annual Research Report
分子シミュレーション支援による生体超分子複合体の構造機能相関の理論的研究
Project/Area Number |
18054013
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鷹野 優 Osaka University, 蛋白質研究所, 助教 (30403017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 春木 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (80134485)
米澤 康滋 大阪大学, 蛋白質研究所, 特任研究員 (40248753)
大島 勘二 大阪大学, 臨床医工学融合研究教育センター, 特任研究員 (40437330)
神谷 成敏 大阪大学, 臨床医工学融合研究教育センター, 特任研究員 (80420462)
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Keywords | チトクロムc酸化酵素 / モノアミン酸化酵素A / 密度汎関数法 / 分子動力学法 / 分子軌道法 |
Research Abstract |
今年度は、分子軌道法や分子動力学法を用いて(i)チトクロムc酸化酵素のプロトン輸送経路の解明および(ii)モノアミン酸化酵素Aの基質の取り込み機構の解明を試みた。 i)チトクロムc酸化酵素のプロトン輸送経路 チトクロムc酸化酵素の最新のX線結晶構造解析から提唱されているプロトン輸送経路では、その特徴としてヘムaがプロトン移動の制御に関わっていることがあげられている。今年度はプロトン移動とヘムaの酸化還元変化との関係を明らかにするためヘムaの電子状態計算を行った。その結果、鉄イオンの酸化還元状態の変化がポルフィリン環のπ共役を介してプロトン移動に関わるArg38と相互作用するヘムaのホルミル基の電荷の変化だけでなく、ポルフィリン環のπ共役が切れているにもかかわらずヘムaのプロピオン酸基Aの電荷変化をも誘起していることが判明した。その原因としてポルフィリン環のx共役に加えてプロピオン酸基のC-C結合のσ*軌道を介した超共役により鉄イオンの酸化還元変化が伝播することが考えられる。このことからヘムaの鉄イオンの酸化還元が周りのプロピオン酸基、ホルミル基の電荷を変化させることでプロトン輸送の制御に行っているのではないかと推察される。 ii)モノアミン酸化酵素Aの基質の取り込み モノアミン酸化酵素Aの基質の取り込み機構を明らかにするため、脂質膜をあらわに取り扱った系とヘッド部分だけの系の双方に対して25nsの分子動力学シミュレーションを行った。シミュレーションの結果を主成分解析したところ、膜分子の系では低振動数のモードに基質の取り込みに関わるドメイン運動を確認することができ、基質の入る経路および反応生成物の出る経路を同定した。一方ヘッド部分だけの系ではそのようなドメイン運動が見られず、基質の取り込みには酵素と脂質膜との相互作用が重要であることを明らかにした。
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Research Products
(37 results)