2006 Fiscal Year Annual Research Report
細菌べん毛蛋白質輸送装置の基質認識切り替えによるフックの長さ決定機構の解明
Project/Area Number |
18054015
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
南野 徹 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 助手 (20402993)
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Keywords | 1分子計測(SMD) / X線結晶構造解析 / ナノバイオ / ナノマシン / 分子モーター |
Research Abstract |
1.FliKのC末基質認識切り替えドメイン(FliK_<T3S4>)の分子解剖 フックの長さが55nmに到達すると、FliK_<T3S4>がFlhBのC末細胞質ドメイン(FlhB_C)と相互作用し、その結果、輸送装置の基質特異性は切り替わる。本研究では、FliKのアミノ酸残基301-350から成る領域と最後の5アミノ酸残基がこのFliK_<T3S4>-FlhB_C相互作用に直接関与すること、さらに、最後の5残基が特定の立体構造をとることが、FliK_<T3S4>-FlhB_Cの安定な相互作用に重要であることを見いだした。 2.FliKのN末ドメイン(FliK_N)の作用機構 FliK_Nは、フックの先端に存在するフックキャップ(FlgD)およびフック(FlgE)と相互作用することにより、フックの長さ情報を感知すると考えられている。本研究では、FliK_N内のアミノ酸残基125-159から成る領域が欠失することによってFliK_NとFlgEとの相互作用は弱められ、その結果輸送装置の基質特異性は正確なタイミングでスイッチできなくなることを見いだした。 3.FlgDのC末ドメイン(FlgD_C)の役割 フックの構築およびその長さ制御におけるFlgDの作用機構を解明するため、運動能が著しく低下したFlgD変異株を解析した。その結果、FlgD_Cは、FlgEの重合を助ける領域であるが、フックの長さ制御には直接関与しないことが判明した。 4.FliK_<T3S4>およびFlhB_Cの大量発現・精製 サルモネラ菌由来のFliK_<T3S4>およびFlhB_Cを大量精製して結晶化を試みたが、蛋白質性の結晶は今のところ得られていない。その一方で、高熱菌であるThermotoga maritimaのFliK_<T3S4>およびFlhB_Cの大量発現系を構築した。今後、T.maritima由来のものを含めて結晶化を引き続き行う予定である。
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Research Products
(6 results)