2006 Fiscal Year Annual Research Report
球状ウイルスにおける粒子の多様性発現機構と粒子形成の階層性の解明
Project/Area Number |
18054016
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福山 恵一 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (80032283)
|
Keywords | タバコネクロシスウイルス / 粒子形成 / X線結晶構造解析 / γ-グルタミルトランスペプチターゼ / γ-グルタミル酵素中間体 / プロセッシング |
Research Abstract |
本研究でとりあげたタバコネクロシスウイルス(TNV)は、化学的に一種類のポリペプチドが180個と一本鎖RNAとが集合したT=3球状ウイルスである。TNVのサブユニットタンパク質はN末端領域にコンフォメーションの多様性があり、サブユニット間コンタクトも全てが等価ではない。N末端から85残基削除したタンパク質(Δ85)を大腸菌で発現させ、可溶化後リフォールドさせCa^<2+>存在下におくと、正20面体対称を持つT=1粒子に集合した。この粒子の結晶構造を2.7Å分解能で決定し、TNVの構造と比較した。サブユニットの3次構造は両者でほとんど同じで、各々の粒子の5回軸まわりのコンタクトが保存されていた。粒子形成にはCa^<2+>イオンが必要であった。TNV中では3サブユニットあたり5個(3個のタイプIと2個のタイプII)のCa^<2+>がサブユニットにまたがって配位している。T=1粒子中ではタイプIのCa^<2+>は保存されていたが、タイプIIのCa^<2+>は無かった。 γ-グルタミルトランスペプチターゼ(GGT)はバクテリアから哺乳類まで幅広い生物が持つ酵素であり、グルタチオン(GSH)などのγ-グルタミル基を他のアミノ酸やペプチドに転移する反応とγ-グルタミル基の加水分解反応を触媒する。大腸菌由来GGTの結晶構造を1.9Å分解能で決定し、αββα構造を取っていることを明らかにした。さらに、クライオトラッピングによりγ-グルタミル酵素中間体の結晶を調製した。この構造解析から、GGTがどのアミノ酸残基でどのようにγ-グルタミル基を認識・触媒しているかを明らかにした。一方、GGTの前駆体タンパク質をミミックしたT391A変異体の構造を決定し、これに基づきプロセッシングによる構造変化、活性型酵素への成熟化の分子機構を明らかにした。
|
Research Products
(3 results)