2006 Fiscal Year Annual Research Report
運動する細胞の先端に形成される浸潤装置複合体の構造と機能
Project/Area Number |
18054022
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村井 稔幸 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20311756)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池上 貴久 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教授 (20283939)
保坂 晴美 大阪大学, 蛋白質研究所, 特任研究員 (70423134)
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Keywords | 蛋白質 / 酵素 / 癌 |
Research Abstract |
これまでに、細胞接着分子CD44が、浸潤性細胞の運動先端部に集積し、膜型メタロプロテアーゼにより切断を受けること、そして、その現象が、細胞運動の駆動力を発生させることを見出した。本研究では、これらの独自の研究成果に基づき、浸潤装置複合体の構造と機能を明らかにすることを目的とする。CD44は、細胞膜に存在するI型膜貫通タンパク質であり、N型糖鎖、O型糖鎖、およびグリコサミノグリカン糖鎖による翻訳後修飾を受けることが知られている。さらに、CD44のリガンド結合には、これらの翻訳後糖鎖修飾は必要とせず、リガンド結合ドメインのコアタンパク質のみでリガンドに結合する能力を有することがわかっている。よって、CD44の細胞外に存在するドメインのコアタンパク質について、大腸菌を用いた発現をおこなった。いくつかの大腸菌株を用いて発現系を検討した結果、CD44を、可溶型GST融合タンパク質として大量発現させることに成功した。さらに、これをアフィニティーカラムとゲル濾過カラムクロマトグラフィーにより高純度に精製することができた。そして、これを用いてCDスペクトルおよびNMR解析をおこなった。HSQCスペクトルの結果より、得られた組み換え体タンパク質が二次構造をとっていない可能性が示唆された。そこで、大腸菌封入体からの巻き戻し操作をおこない、約10%の回収率で組み換えタンパク質を得ることができた。CD44の正しいフォールディングを認識することのできるモノクローナル抗体を用いたELISA検定により、立体構造の予備検討をおこなったところ、正しくフォールディングした組み換え体タンパク質が得られた可能性が示唆された。
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