2006 Fiscal Year Annual Research Report
光合成電子伝達系膜タンパク質複合体の離合集散と機能
Project/Area Number |
18054028
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
菓子野 康浩 兵庫県立大学, 大学院生命理学研究科, 助手 (20221872)
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Keywords | 膜タンパク質複合体 / 光化学系 / 電子伝達系 |
Research Abstract |
本研究では、光合成電子伝達系を構成する光化学系II(系II)等の膜タンバク質複合体の解体、修復、構築の仕組みを解明すること、および、構築された複合体における反応機構を原子レベルで解明するために、とくに系II複合体を対象として、構造分析を目指している。 ラン色細菌系II複合体の水分解。酸素発生系に新たに見出した表在性タンバク質PsbQが実際に系IIの水分解系に結合し、既知の3種類のタンバク質と協同して機能していることを明らかにした。さらに、PsbQにヒスチジンタグを遺伝子工学的に導入して精製した系II複合体により、構築・修復過程の一部が明らかとなった。つまり、系II複合体の膜タンパク質サブユニットがまず構築され、表在性タンバク質の代わりにPsb27タンバク質が結合している。そして、Psb27が他の4種類の表在性タンパク質に置き換わることにより、機能的構造体に成熟すると推測できた。 系II複合体の機能には、光エネルギーが必要不可欠である。しかし、光により損傷を受け、つねに修復・再構築を繰り返している。この修復の過程で、サブユニットのひとつPsbTcが第一次電子受容体Q_Aの修復に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。 膜タンバク質の質的、量的挙動を詳細に分析するためには、膜タンバク質を高分解能で分離する技術が必要である。本研究では、等電点電気泳動の担体としてアガロース、界面活性剤としてドデシルマルトシドを用いることにより、従来困難であった疎水性の高い膜タンバク質も明瞭に展開することが可能となった。 系II複合体の結晶化には、系II複合体を長期間に亘って安定に保つ条件が重要である。検討の結果、精製に汎用されるグリセロールよりも、ショ糖やベタインが効果的であることが判明した。ただし、精製の際の溶質としてはグリセロールが適していた。
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Research Products
(5 results)