2006 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチン結合タンパク質Winged eyeによるdecoding制御
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18055003
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
倉田 祥一朗 東北大学, 大学院薬学研究科, 教授 (90221944)
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Keywords | ゲノム / 再生医学 / 発生・分化 / クロマチン / エピジェネティック |
Research Abstract |
本研究の目的は、「ショウジョウバエの複眼を翅に改変できるクロマチン結合タンパク質Winged eye(WGE)によるエピジェネティックな制御を解析し、特定の遺伝情報の読み出し方を上位で制御する機構を理解する」ことにある。これにより、同じゲノム情報から個別の特異性が発現する機構と、均一な細胞集団の一部で、その特異性が決定される機構についての理解が進むものと期待できる。Wgeは、複眼を、前後軸・背腹軸を有するほぼ完全な構造を有する翅へと改変する遺伝子として、ゲノム機能を利用した網羅的探索により同定した遺伝子である。これまでにwgeが翅だけでなく他の成虫器官の形成に必要で、それぞれの発生プログラムを決定するエピジェネティックな制御を行っていることが示唆されている。そこで、(1)WGEはどのような因子と共に働くのか、(2)WGEはどのようなエピジェネティック制御を行うのか、(3)エピジェネティックな制御を行うWGEの標的遺伝子は何か、を明らかにする。 平成18年度は、(1)WGEはどのような因子と共に働くのか、について明らかにするために、エピジェネティックな制御に関わるポリコーム遺伝子群、並びにトリソラックスグループ遺伝子群と、遺伝学的に相互作用を示すことが二つの系で示された。一つは、ポリコーム遺伝子群の表現型として知られるsex combの表現型であり、もう一つは、wgeの過剰発現で見られる複眼から翅への器官改変であり、いずれにおいても、wgeは、ポリコーム遺伝子群と拮抗的に作用することが示された。
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