2007 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチンの構造・機能を制御する酸性分子シャペロン
Project/Area Number |
18055004
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
奥脇 暢 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (50322699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 恭介 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (40180492)
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Keywords | ヒストン / クロマチン / 転写 / 複製 |
Research Abstract |
本研究では、ヒストン結合活性を有する酸性分子シャペロンによるクロマチン構造制御機構の解明を目的として研究を進めた。酸性分子シャペロンとは、酸性アミノ酸にとんだ領域を介して、塩基性のタンパク質の構造・機能を調節し、DNAあるいはRNAに塩基性のタンパク質を受け渡すような活性を持つ一連のタンパク質である。クロマチシを構成する主要タンパク質であるヒストンと相互作用する因子は、特にヒストンシャペロンとよばれる。本研究ではヒストンシャペロンNucleosome Assembly Protein(NAP)1及びTemplate Activating Factor-I(TAF-I)の機能解析をすすめた。ヒトNAP1は、増殖する培養細胞においてNAP1とNAP2という二つのサブタイプが発現している。それぞれの細胞内機能はほとんどわかっていない。そこで、NAP1及びNAP2の細胞内局在とヒストンシャペロン活性こ関して検討を行った。NAP1及びNAP2は細胞質におもに局在するが、核にもわずかに局在していた。また、NAP2は細胞周期依存的に核一細胞質間をシャトリングしていることが明らかになった。細胞内におけるNAP1及びNAP2のヒストン結合能を調べたところ、NAP1とNAP2はともにヒストンH2A-H2B二量体のみならず、ヒストンH2AのヴァリアントであるH2A.Z、H2A.X、macroH2Aと相互作用することが明らかになった。試験管内におけるヒストンシャペロン活性を検討した結果、NAP1とNAP2ではその機能が異なっていた。NAP1はヒストンH2A-H2B二量体のヌクレオソームからの解離を促進するのに対し、NAP2にはそのような活性がほとんどなかた。したがって、細胞内ではNAP1とNAP2に共通した機能と、それぞれ独立した機能を持っていることが示唆される。また、リンカーヒストンH1のシャペロンとして、NAP1はほとんど機能せず、TAF-Iが重要な役割を担っている可能性が示唆された。今後は、これらの酸性分子シャペロンの機能の生物学的な意義を解明すべく研究を進める。
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Research Products
(11 results)