2006 Fiscal Year Annual Research Report
bZip型転写抑制因子ATF3の細胞増殖と細胞死デコードシステムの解析
Project/Area Number |
18055008
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
北嶋 繁孝 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (30186241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安達 三美 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (10323693)
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Keywords | 転写抑制因子 / ATF3 / スプライス制御 / 抗がん剤作用 / 遺伝情報伝達 / 網羅的標的遺伝子検索 / 細胞増殖 / 細胞死 |
Research Abstract |
転写因子ATF3は、細胞増殖と細胞死に関わっておりそのdualな細胞運命の決定機構は、遺伝情報の発現制御と生物機能のデコードシステムの点で興味深い。本研究期間において、次の点を明らかにした。 1)強いストレス刺激に反応して誘導されるスプライシングバリアントZip2が、NF-kB, p65(Re1A)と直接結合すること、 2)その結合は、co-regulator binding motifにホモロジーを持つC-末の19アミノ酸配列ガ関与すること、 3)p65結合の結果、コアクチベーターCBP/p300との結合を弦弱すること、4)Zip2はNF-kB依存性転写を抑制し抗アポトーシス遺伝子を阻害すること、を見出した。この結果は、ATF3の細胞抑制機能がそのスプライシングによっても制御されていることを始めて見出したものである。抗がん剤はじめDNA傷害時にもZip2が誘導されることから、in vivoにおいてもZip2がATF3による細胞死に深く関わっている可能性がある。 一方、PI3キナーゼ阻害剤は、細胞増殖や細胞生存を阻害することにより、抗がん剤として期待されている。そのひとつLY294002の大腸がん細胞死のマイクロアレイ発現解析により、本阻害剤が、ATF3を誘導することを見出した。その作用機序を解析したところ、1)LY294002は、本来のPI3 kinase阻害剤としての機能と非依存性にEgr1を誘導し、それがATF3プロモーターを活性化することを明らかにした。 以上の結果は、ATF3の遺伝情報発現の一部を明らかにしたものである。さらに、DNA傷害剤によるATF3の標的遺伝子をChIP-chip解析により網羅的に解析しており、興味深い候補遺伝子を得ておりその詳細な解析を進めている、また、ATF3の生物機能をさらに解析するために組織特異的ATF3ノックアウトマウスを作成しており、本研究期間で順調に進んでいる。
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Research Products
(4 results)