2006 Fiscal Year Annual Research Report
恒常性維持シグナルの変換体としてのMaf転写因子の活性調節機構
Project/Area Number |
18055021
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
片岡 浩介 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教授 (20262074)
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Keywords | 転写制御因子 / シグナル伝達 / 遺伝子発現制御 |
Research Abstract |
Maf転写因子ファミリーは、細胞の分化・恒常性の維持にとって重要な役割を担っており、細胞外のシグナルを受容して活性が変化する「シグナル変換体」としての側面を持つことが示唆されている。特に、Maf転写因子群がグルコースなどの細胞外シグナルによって活性を大きく変化させることが判明し、Mafの活性制御の分子機構の全貌解明が待たれる。本研究においては、転写因子Mafが細胞外のさまざまなシグナルを感知してその活性を変化させる調節システムを生化学的に解明する。 具体的な目標のひとつである、膵島β細胞株におけるMafAをリン酸化するキナーゼの同定については、全8カ所のリン酸化部位のうち4カ所についてGSK3(glycogen synthase kinase 3)であることをあきらかにし、その活性制御(Wnt経路やAkt経路など)の意義について調べ、さらに残りの4カ所をリン酸化するキナーゼの同定を進行中である。 もうひとつの目標であるMafAタンパク質の安定性制御については、これまでに、MafAの特定の部位がリン酸化されることで安定性が大きく低下する(プロテアソームによる分解が促進される)ことを見出していた。今年度は、リン酸化されたMafAタンパク質の分解は、PA28γタンパク質の関与する非常に珍しい経路を介していることを突き止めた。PA28γは20Sサブユニットに結合して、通常の26Sプロテアソーム(20Sおよび19S複合体からなる)とは異なり、標的のユビキチン化やATPの加水分解非依存的にタンパク質分解を促進するタンパク質であるが、その生物学的意義はよくわかっておらず、MafAの分解制御を手がかりにして解明できるものと期待される。
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