2006 Fiscal Year Annual Research Report
立体構造を基にしたヒストン修飾酵素の認識機構の解明
Project/Area Number |
18055027
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
清水 敏之 横浜市立大学, 国際総合科学研究科, 準教授 (30273858)
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Keywords | PAD4 / シトルリン / ヒストン / アルギニン / βターン |
Research Abstract |
PADは、Ca2+依存的にアルギニンで残基を脱イミノ化(シトルリン化)して、シトルリン残基を産出する反応を触媒するタンパク質修飾酵素である。ヒトPADタイプ4(PAD4)は、663アミノ酸残基からなり核内に優先的に局在する。PAD4はヒストン修飾による遺伝子発現の制御、慢性関節リウマチの発症と関与していることが示唆されている。 PAD4はin vivo、in vitroでヒストンH3の2,8,17,26番目とH4の3番目のアルギニンをシトルリン化する。これまでに、ヒストンH3のアルギニン17(H3/R17)とH4のアルギニン3(H4/R3)の部位がメチル化を受けると、エストロゲンレセプターを介した転写が活性化される。一方、PAD4によってH3/R17とH4/R3がシトルリン化されると、前述したメチル化とは逆に、エストロゲン応答遺伝子の転写が抑制されることが明らかなっている。 我々は生体内基質の一つであるヒストンのN末端テールとの複合体構造解析にも成功した。標的のArgの位置をNとするといずれも(N-2)から(N+2)の5残基のアミノ酸残基の電子密度が確認され,そのうち(N-2)から(N+1)の4政基がPAD4によって認識されることがわかった。主鎖原子は4政基にわたって認識されているが、側鎖の認識はターゲットとなるアルギニン残基の側鎖と(N-2)の残基の側鎖だけで基質認識の配列特異性はきわめて低い。次に,ヒストンペプチドの構造を比較してみると、ペプチド鎖は折れ曲がったβターン様の構造をとっていることがわかる。これはヒストンペプチドがPAD4の活性部位周辺の形状とArg374との相互作用によって折れ曲がったβターン様の構造が誘起されるためである。このように,通常は一定の決まった構造をとっていないペプチド鎖もPAD4に認識されると折れ曲がったβターン様の構造をとることが明らかにされた
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Research Products
(4 results)