2006 Fiscal Year Annual Research Report
核内受容体の相互作用による標的遺伝子発現ネットワークの調節とその病態における意義
Project/Area Number |
18055031
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
井上 聡 埼玉医科大学, 医学部, 客員教授 (40251251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 和博 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (30343461)
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Keywords | エストロゲン / エストロゲン受容体 / エストロゲン応答遺伝子 / 転写 / 子宮内膜癌 / 乳癌 |
Research Abstract |
ステロイドなどの脂溶性低分子シグナル物質はリガンド依存性の転写因子である核内受容体を介してその組織特異的生理作用や各種病態における役割を発揮する。本研究は核内受容体の相互作用による遺伝子発現制御とその標的遺伝子を明らかにし、組織特異的作用や各種病態に密接に関わる核内受容体の遺伝情報制御を統合的に解明することを目的として行った。本年度の研究において我々は先にエストロゲン応答遺伝子として報告したCOX7RP遺伝子がエストロゲン受容体(ER)に加え、Estrogen-related receptorα(ERRα)によっても制御されることを明らかにし、加えてCOX7RPタンパクはミトコンドリアに局在し、エネルギー代謝に関与することを明らかにした。さらに、エストロゲン依存性増殖を示す子宮内膜癌由来のIshikawa細胞および乳癌由来のMCF7細胞においてCOX7RPはエストロゲン誘導性の発現を示し、細胞機能調節に関わることを明らかにした。また、NIH3T3-L1細胞を用いた脂肪細胞分化系においてERRαが発現誘導されることを明らかにした。ERRαはミトコンドリアの生合成や脂肪酸酸化に関わる核内受容体として注目されている。本研究によって、ERとERRの双方によって発現調節される応答遺伝子を見出したことは、これまで未解明の問題であったエストロゲンの作用とエネルギー代謝、肥満、糖尿病などとの関連を核内受容体の相互作用のレベルで解き明かすものであり、新たな治療、予防、創薬における分子標的としての応用が期待された。
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Research Products
(6 results)