2006 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナATHB5遺伝子が関与する師部の物質輸送因子の単離・解析
Project/Area Number |
18056003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
澤 進一郎 東京大学, 大学院理学系研究科, 助教授 (00315748)
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Keywords | シロイヌナズナ / 師部 / AtHB5 / ヒャクニチソウ / ZeHB3 / SUC2 / 維管束形成 / トランスポーター |
Research Abstract |
ヒャクニチソウの篩部で特異的に発現するHD-Zip class I遺伝子ZeHB3をデキサメタゾンで発現誘導するシロイヌナズナ形質転換体を用いた解析を行った。これまで、播種後3日目の幼植物体における篩部マーカー遺伝子AHA3::GUSを用いた観察において、ZeHB3の過剰発現誘導時にも篩部パターンに異常が見られないことから、ZeHB3の篩部形成への関与は小さいと考えられた。今回、木部と篩部のパターン形成に関するAPL遺伝子のプロモーターGUSラインの観察によっても同様の結果が得られ、このことが支持された。一方で、播種後10日付近まで観察を続けたところ、胚軸の道管の減少と形成された道管の形態異常が観察された。このことから、ZeHB3がシロイヌナズナ実生の胚軸において道管の形成を抑制し、また、正常な道管形成を阻害する効果を持つことが示された。このとき、篩部マーカー遺伝子のGUS染色パターンには不連続性が見られなかったことから、ZeHB3は篩部の形態異常は引き起こしていないことが予想された。胚軸切片の観察によって道管の減少が確認されるとともに、道管形成の位置関係から後生木部道管の形成が阻害されていることが示唆された。一方で、篩部マーカーAHA3::GUSとAPL::GUSの発現パターンの拡大が観察され、ZeHB3がこれらの遺伝子の発現も制御する可能性が示唆された。これまで明らかにしてきた篩部機能遺伝子の発現パターンの変化とは異なっていたことから、ZeHB3がそれぞれ異なる制御を行っている可能性がある。ZeHB3の過剰発現誘導時の実生致死性を抑圧するEMS種子を選抜した。今回、独立した4ラインを得ることができたため、マッピングを開始した。
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