2006 Fiscal Year Annual Research Report
植物の過湿ストレス耐性に寄与するトランスポーター遺伝子の機能解明
Project/Area Number |
18056005
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中園 幹生 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授 (70282697)
|
Keywords | イネ / 過湿ストレス / 低酸素 / トランスポーター / 根 |
Research Abstract |
近年の集中豪雨の激化は、湿害/冠水害をもたらすため、作物生産においてますます深刻な制限要素になると予想される。過湿ストレスによって植物が最も影響を受けやすい器官は根であり、特に養水分吸収の低下が問題となる。現在のところ、過湿条件下における根のトランスポーターの役割および養水分の吸収の分子機構についての知見が著しく乏しい。本研究では、湛水への順応の過程で発現パターンの変化するトランスポーター遺伝子を、マイクロアレイ解析により同定する。 イネの土壌環境を嫌気状態へ移行させた直後は、根の外皮付近に観察される酸素漏出のバリア(Radial O_2 Lossバリア)がまだ形成されていないために、通気組織を通して酸素が根端へ効率よく供給できない。したがって、半水生植物のイネでも湛水状態に移した直後の1,2日間は根端に嫌気ストレスがかかる。そのような環境の変化に応答して、発現パターンが変化するトランスポーター遺伝子を同定するために、44Kイネオリゴアレイを用いた解析を行った。マイクロアレイ解析の結果、24時間の嫌気処理によって、mRNA量が2倍以上増加した遺伝子は1,350個存在した。逆にmRNA量が2分の1以下に減少した遺伝子は1,185個存在した。それらの中で養水分吸収に関わるトランスポーター、チャネル、キャリアー等の遺伝子に関しては、mRNA量が2倍以上増加したものが39個(重複しているものを除くと26遺伝子)存在し、mRNA量が2分の1以下に減少したものが83個(重複しているものを除くと50遺伝子)存在した。平成19年度は、同定された遺伝子の発現解析、機能解析を行い、過湿土壌中における効率的な養水分吸収に寄与するトランスポーター遺伝子を同定する。
|
Research Products
(5 results)