2006 Fiscal Year Annual Research Report
窒素飢餓に応答した生体内窒素転流制御の分子機構解明
Project/Area Number |
18056010
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 文彦 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (10127087)
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Keywords | 窒素飢餓 / タンパク質分解 / CND41 / オートファジー / 転流 / トランスポーター / Rubisco / 老化 |
Research Abstract |
窒素欠乏時の植物個体における窒素再利用の分子機構の解明を目的に、シロイヌナズナのCND41ホモログ(At5g10760, At5g10770)の過剰発現体、あるいは、これら遺伝子のRNAi発現抑制体を用いて窒素飢餓条件下における葉緑体タンパク質の分解、タンパク質分解酵素遺伝子群(At5g10760, At5g10770、ATG5、SAG12)ならびに転流に関与すると考えられる関連遺伝子(AAP2(At5g09220)等)の発現の解析を行なった。また、上記の実験を補完する実験として、オートファジー変異株atg5に、同様な窒素飢餓処理を行ない、同条件下で起こる変化を解析した。1)転写産物の変化をrealtime-PCRにより解析した結果、窒素飢餓10日処理により、At5g10760ならびにSAG12のmRNAがいずれの植物体でも顕著に増加することを認めた。アミノ酸パーミアーゼAAP2、H+依存型オリゴペプタイドトランスポーター(At5g62680)のmRNA量も有意に増加していた。なお、窒素飢餓によるオートファジー遺伝子ATG5、ATG8のmRNAの増加は比較的小さく、また、その増加は、窒素飢餓10日ではなく、20日において顕著であった。2)それぞれの変異株における遺伝子発現の比較から、atg5変異株においては、SAG12遺伝子のmRNA量が顕著に増加していること、また、若干ではあるが、同変異株においてAt5g10770のmRNA量が増大していることを認めた。一方、At5g10770過剰発現植物体(20日栽培)において、若干ではあるが、ATG5/ATG9のmRNA量の低下を認めた。また、窒素飢餓10日処理によるSAG12遺伝子のmRNA量増加がAt5g10770ならびにAt5g10760過剰発現植物体においては抑制されていることが明らかとなった。このことから、オートファジー遺伝子とSAG12遺伝子に強い相補的作用が、また、CND41様タンパク質遺伝子とオートファジー遺伝子、SAG12遺伝子に弱い相補的作用があることが示唆された。
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Research Products
(2 results)