2006 Fiscal Year Annual Research Report
ポストゲノム科学による植物アミノ酸代謝制御機構の動的・空間的理解
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18056020
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
平井 優美 独立行政法人理化学研究所, 代謝システム解析ユニット, ユニットリーダー (90415274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森岡 涼子 独立行政法人理化学研究所, メタボローム情報ユニット, リサーチアソシエイト (90415323)
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Keywords | トランスクリプトミクス / メタボロミクス / 共発現 / グルコシノレート / 生合成 / 転写因子 / メチオニン / 植物 |
Research Abstract |
アミノ酸は植物が環境から取りこんだ無機体窒素・硫黄の最初の同化産物であり、その代謝の理解は窒素・硫黄原子のさまざまな一次・二次代謝産物へのフローの理解につながる。栄養成長期のシロイヌナズナを硫黄栄養十分条件から硫黄栄養欠乏条件へとシフトし、そのトランスクリプトームとメタボロームの経時変化をそれぞれマイクロアレイとFT-MSで解析した。両データを多変量解析法のひとつである一括学習自己組織化マッピング法(BL-SOM)により統合解析した結果から、さまざまな代謝経路において代謝物・遺伝子の共蓄積・共発現ネットワークが見つかった。例として、アミノ酸を生合成前駆体とする二次代謝産物グルコシノレート類の蓄積が同調的に変化しており、グルコシノレート類の生合成酵素遺伝子群が同調的に発現していた。BL-SOMにおいてグルコシノレート生合成酵素遺伝子群と同じクラスターに分類された遺伝子の中から複数の転写因子をグルコシノレート生合成酵素遺伝子の転写制御因子候補として見出した。シロイヌナズナマイクロアレイのデータベースAtGenExpressに登録されているトランスクリプトームデータを利用して様々な実験条件・植物器官を通じて保存されている共発現ネットワークを解析し、上記の候補転写因子が、アミノ酸のうちメチオニンを前駆体とするグルコシノレートの生合成酵素遺伝子群を特異的に制御することを予測し、予測機能を逆遺伝学的手法により証明した。PMG1(Production of Methionine-derived Glucosinolate 1)と名づけたこの遺伝子は、生合成経路上でメチオニンの下流にあるグルコシノレート生合成酵素遺伝子群のみならず、メチオニンの上流すなわちメチオニン生合成酵素遺伝子をも制御している可能性を示すデータが得られており、メチオニン量を制御するキー遺伝子のひとつである可能性がある。
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Research Products
(1 results)