2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規ARF GAPによるARF Gサイクル制御と生理機能の解明
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18057001
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
渡邊 利雄 奈良女子大学, 大学院・人間文化研究科, 教授 (60201208)
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Keywords | ARF GAP / ARF / Gサイクル / KOマウス / 細胞内小胞輸送 / 精子形態形成 / 不妊 / TGN |
Research Abstract |
GTPase活性を有する低分子量Gタンパク質のARF (ADP Ribosylation Factor)は、細胞内小胞輸送や細胞骨格制御を介して、細胞の恒常性維持や外部刺激への応答に関与していることが推定されている。 そのGTPase活性はARF GAP (GTPase Activating Protein)により厳密な制御を受けているが、1-6存在するARFのうちいくつかのARFについてはそのGAPは不明であった。 我々は既に新規のARF GAPとしてSMAP1を発見し、昨年論文にて世界に発信した。 今回、そのファミリー遺伝子と思われるSMAP2を発見し、その細胞内での機能を解析することに成功した。SMAP2はそのGAP活性を示す領域ではSMAP1と高い相同性を示したが、それ以外の部分では低い相同性を示した。SMAP1と同様にクラスリンに結合するが、結合部位はSMAP1の1ヶ所とは異なり2ヶ所存在した。さらに、リン脂質と結合し、クラスリンを集合させる因子であり、そのキメラ遺伝子が白血病の原因遺伝子でもあるCALM (Clathrin Assembly Lymphoid Myeloid leukemia gene)とSMAP2とが結合することを見出した。細胞内の分布もSMAP1とは異なり、詳細な解析の結果TGN (Trans Golgi Network)とエンドソームとの間での小胞輸送に関与していることを明らかにした。 今後は、遺伝子操作マウスによる個体での機能の解析が必要であり、その結果と細胞レベルでの知見の関連、特にGサイクルとの関連を明らかにする必要がある。最近完成した遺伝子破壊マウスの予備的な解析からは、オスの不妊が観察されている。今後の詳しい解析がこの分野に大きく寄与するものと思われる。
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