2006 Fiscal Year Annual Research Report
三量体Gタンパク質の脂質ラフト局在と活性調節の分子メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
18057002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中畑 則道 東北大学, 大学院薬学研究科, 教授 (60045804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
守屋 孝洋 東北大学, 大学院薬学研究科, 助教授 (80298207)
小原 祐太郎 東北大学, 大学院薬学研究科, 助手 (40400270)
斎藤 将樹 東北大学, 大学院薬学研究科, 助手 (50400271)
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Keywords | 脂質ラフト / Gタンパク質 / G_s / サイクリックAMP / Gβ / コレステロール / ガングリオシド / アデニル酸シクラーゼ |
Research Abstract |
脂質ラフトはスフィンゴ脂質、コレステロールやスフィンゴ糖脂質などに富む細胞膜マイクロドメインであるが、三量体Gタンパク質をはじめとするシグナリング分子が集積し、受容体を介するシグナル伝達が効率的に行われる場としても重要であることが近年示唆されている。以前よりわれわれはマストパランによる細胞情報伝達系に及ぼす影響について解析を進めてきたが、最近、PI代謝回転のマストパランによる抑制メカニズムについて検討したところ、マストパランは脂質ラフトからGα_qを遊離させ、その作用点は脂質ラフトのガングリオシドであることを明らかにした(Sugama et al.Mol.Pharmacol.68,1466-1474,2005)。すなわち、マストパランは脂質ラフトへの三量体Gタンパク質の局在を解析するツールとして極めて有用である。しかし、ガングリオシドとGαとの相互作用の分子メカニズムや、G_q以外のGタンパク質の脂質ラフトにおける局在や活性調節におけるガングリオシドの役割については不明のままである。そこで本研究では、マストパランによって引き起こされる脂質ラフトの構成分子の変化を詳細に調べるとともに、G_q以外の三量体Gタンパク質であるG_sの局在や活性調節におよぼすマストパランの作用を解析した。その結果、マストパランは、Gα_qのみならずGα_sを脂質ラフトから遊離させ、その結果、β-受容体刺激による細胞内サイクリックAMPの上昇を顕著に抑制した。同時マストパランはにGβも脂質ラフト画分から移動させたが、脂質ラフトを破壊するβ-シクロデキストリンとは異なり、コレステロールの減少はもたらさず、特異的な分子作用機構の存在が推定された。一方、マストパランによるサイクリックAMPの生成や脂質ラフトからのGα_sの遊離はガングリオシドを前処理することにより抑制されることから、マストパランの作用は脂質ラフトに存在するガングリオシドに最初に結合することによってもたらされるものと推定され、この作用機序はG_qシグナルの抑制の作用機序と同一であるものと考えられた。
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