2007 Fiscal Year Annual Research Report
植物の自然免疫におけるGタンパク質Racの活性化機構
Project/Area Number |
18057015
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
川崎 努 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 准教授 (90283936)
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Keywords | イネ / 植物免疫 / Gタンパク質 / GEF / Rac |
Research Abstract |
申請者はRacファミリーのイネ低分子量Gタンパク質OsRac1が病原体の侵入認識から抵抗性発現に至る過程で信号伝達の鍵因子として機能していることを明らかにしてきた。しかし、耐病性反応時にOsRac1を活性化するGDP-GTP交換因子(GEF)については明らかになっていない。本研究課題では、耐病性反応におけるRacGEFを同定し、Racの活性化機構を解析することを目的としている。近年、植物の特有の機能ドメインであるPRONEドメインがGEF活性を有することが明らかにされた。イネには11個のPRONEドメインをもつ遺伝子(OsRacGEF1-11)が存在する。本研究プロジェクトでは、これらのRacGEFについて、分子生物学的および生化学的な解析を行ない、OsRac1のGEFの同定を試みた。11個の全てのRacGEFについて、組換えタンパク質を調製し、OsRac1に対するGEF活性を調べた。その結果、全てのOsRacGEFがOsRac1に対してGEF活性を示したが、特にOsRacGEF7とOsRacGEF8が強いGEF活性を示すことが明らかとなった。また、OsRacGEFの細胞内の局在部位を調べるため、蛍光タンパク質と融合させたOsRacGEFをイネ細胞内で発現させ、局在解析を行った。その結果、RacGEF4は核に、RacGEF7、RacGEF8、RacGEF9は細胞膜と細胞質に、RacGEF10は細胞質に、RacGEF11は微小管に存在することが明らかとなった。OsRac1は細胞膜に多く存在することがわかっており、RacGEF7、RacGEF8、RacGEF9がOsRac1と共局在しているど考えられた。また、RacGEF7とRacGEF8の過剰発現体では、恒常的に防御遺伝子の発現が誘導されており、この2つの遺伝子が耐病性反応に関わるOsRac1のGEFとして働いている可能性が示された。
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