2006 Fiscal Year Annual Research Report
脳内摂食受容体G蛋白質シグナルを調節する蛋白質の解析
Project/Area Number |
18057019
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
斎藤 裕見子 広島大学, 大学院総合科学研究科, 教授 (00215568)
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Keywords | G蛋白質 / 情報伝達 / 受容体 / 摂食 / 不安 |
Research Abstract |
RGS蛋白質は,G蛋白質αサブユニットに対して負の制御因子として働き、GPCRシグナル伝達の強さ、持続時間および正確さに深く関与する。30種以上あるRGSがどのように選択的にGPCRと相互作用し、Gシグナリングを調節するか多くの点が未だ不明である。メラニン凝集ホルモン(melanin-concentrating hormone : MCH)は、そのノックアウトにより摂食量が低下し体重が減少する「ヤセ」表現形を示す唯一の神経ペプチドであり、その受容体はGPCRであり、脳に高発現する。MCH受容体にはMCH1RとMCH2Rがある。前者はMCH刺激によりカルシウム濃度上昇・cAMP抑制・ERK活性が開始し、後者はカルシウム濃度上昇のみが開始する。平成18年度は、MCH1RおよびMCH2Rを高発現した293T細胞に8種類のRGSをそれぞれトランスフェクション後、MCH刺激により誘起される情報伝達系を選択的に阻害するRGSを同定することを試みた。その結果、(1)8種のRGSのうちRGS8とそのスプライシングフォームであるRGS8のみが用量依存性にMCH1Rによるシグナルを著しく阻害する、(2)MCH2Rによるシグナルも同程度に阻害する、(3)その阻害程度は大きく、EC50値(細胞内カルシウム濃度)は20倍上昇する、(3)コレラ毒素の実験からGiよりもGqを経るシグナルに対して阻害効果が大きい、(4)MCH1RとRGS8は細胞膜においてその局在が一致すること、の4点を明らかにした。今後はRGSのN末側欠損変異体や他のRGSとのキメラを活用してRGS側の受容体に対する選択性部位を培養細胞系を活用することにより決定する。
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