2006 Fiscal Year Annual Research Report
ポリグルタミン変性蛋白質の核移行を制御する新規GTPaseの同定と機能解析
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18057022
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
柳 茂 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (60252003)
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Keywords | ポリグルタミン / GTP結合蛋白質 |
Research Abstract |
ポリグルタミン病は原因遺伝子の同定により新たに提唱された疾患群で、原因遺伝子の翻訳領域内にあるポリグルタミンをコードするCAGリピートが、患者において特異的に伸張していることが明らかにされた疾患群である。現在、ポリグルタミン鎖をもつ変性蛋白質が神経細胞内に核内封入体を形成して、神経細胞に対して障害性を引き起こすことが疾患発症機構に密接に関与していると考えられているが、ポリグルタミン変性蛋白質がどのようなメカニズムで核内に移行するのか不明である。私たちはこれまでに新規の神経特異的核内GTP結合蛋白質CRAGを同定した。CRAGはポリグルタミン変性蛋白質と特異的に結合し、変性蛋白質の核内移行およびユビキチン化を誘導して消去する活性が認められた。また、Machado-Joseph病患者脳においてCRAGの異常集積が検出された。以上の結果より、CRAGはポリグルタミン病の変性蛋白質核内移行制御因子および消去因子であることが示唆された(J.Cell.Biol.2006)。さらにポリグルタミン病モデルマウスにCRAGをウイルスベクターに組み込んで小脳プルキンエ細胞に特異的に遺伝子導入するとポリグルタミン病モデルマウスの小脳失調歩行が劇的に改善された。また、組織学的解析においても改善が観察されている。今後、人のポリグルタミン病においてCRAGをもちいた遺伝子治療の実現が大いに期待できると考えられる。
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Research Products
(1 results)