2006 Fiscal Year Annual Research Report
染色体不安定性の分子機構の解明-主に動原体構造異常の関与について-
Project/Area Number |
18058006
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
朝長 毅 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教授 (80227644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 英昭 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (20292691)
野村 文夫 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (80164739)
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Keywords | 染色体不安定性 / 癌 / プロテオーム解析 / 動原体 / CENP / 核膜 / lamin B |
Research Abstract |
大多数の固形癌で癌の早期から染色体異数性などの染色体の大きな構造異常が認められることから、癌細胞はこのような構造異常が起こりやすい状態(染色体不安定性)にあると考えられる。しかも、癌細胞はその不安定な状態を維持しながら増殖し続けられるという正常細胞にはない特徴を持つ。従って、その原因やメカニズムを明らかにすることは、癌の画期的な治療法に結びつくと考えられる。染色体安定性の機序として、細胞分裂時における姉妹染色体分配を保証するメカニズムの破綻が関与していると考えられているが、最近我々は、染色体均等分配に必須なセントロメアタンパク質CENP-AとCENP-Hがほとんどの大腸癌組織で発現増大していること、また、これらのタンパク質の発現増大とその結果起こる局在の変化が染色体異数性を引き起こすことを見出した(Cancer Res.2003,2005)。このことから、染色体不安定性に動原体構造や機能の異常が関与していることが考えられ、現在種々の癌細胞の動原体構造について検討を行っている。 一方、動原体以外に染色体不安定性を引き起こす原因となる因子を調べるために、染色体不安定性を示す大腸癌培養細胞株(CIN cell line)と示さない細胞株(MIN cell line)の核タンパク質を用いたプロテオーム解析を行っている。具体的には、CIN cell lineとしてCaco2、HT29、SW480、SW837、WiDr、MIN cell lineとしてHCT116、RKO、DLD1、SW48からそれぞれ核タンパク質を抽出し、蛍光標識二次元ディファレンス電気泳動法(2D-DIGE)を用いてそれぞれの細胞株の核タンパク質の発現を比較検討した。また、発現の違いがみられたタンパク質について、Western blotや免疫染色を用いて確認した。その結果、核膜タンパク質であるLaminB2の発現がMIN cell lineに比べCIN cell lineで低下していた。そこで、MIN cell lineでのLamin B2の発現をRNAiを用いて抑制したところ、染色体異数性をもつ細胞数が増加した。さらに、lamin B2の発現を抑制した細胞では微小管の形成異常が認められたことから、lamin B2の発現低下による微小管の形成異常が染色体異数性を引き起こしたと考えられた(論文投稿中)。
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Research Products
(8 results)