2006 Fiscal Year Annual Research Report
食物質による腸管上皮トランスポートソーム制御の機能的解析
Project/Area Number |
18059008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
薩 秀夫 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助手 (80323484)
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Keywords | トランスポーター / 腸管上皮細胞 / MDR1 / pregnane X receptor |
Research Abstract |
腸管の最前線に位置する腸管上皮細胞は、栄養吸収機能やバリヤー機能、シグナル変換機能といった多様な生理機能を有するが、これらの機能には腸管上皮に存在するトランスボートソームの存在が必要不可欠である。腸管上皮トランスポートソームは食物質をはじめ様々な要因によって制御・調節されることが予想されるため、本研究では主として食物質による腸管上皮トランスポートソームの制御について解析することとした。腸管上皮細胞のモデル系としてヒト結腸癌由来株化細胞Caco-2及びLS180を用いることとした。Caco-2細胞を用いてABCトランスポーターの一種であるMDR1(ABCB1)の活性を制御する食物質を探索したところ、ニガウリ抽出物中にMDR1阻害活性を見出しさらにその阻害因子の一つが脂質成分である1-モノパルミチンであることが明らかとなった。またMDR1は様々な転写因子によってその転写が制御されることが知られるが、そのひとつに核内受容体の一種であるPregnane X receptor (PXR)が挙げられる。そこでヒトPXR発現ベクター及びPXR認識配列であるDR3を4つタンデムに含む配列を導入したレポーターベクターを構築し、LS180細胞を用いてPXRを活性化する化合物の評価系を構築した。この評価系を用いてPXRを活性化する食物質の探索をおこなったところ、ginkgolide,tangeretinといった植物由来低分子有機化合物がPXR依存的な転写活性を亢進することを見出した。一方、中'性アミノ酸の一種であるロイシンのトランスポーターを介した腸管上皮取込活性制御について検討したところ、タンパク質合成阻害剤であるシクロヘキシミド処理によってその取込活性が顕著に増加することを見出した。
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