2007 Fiscal Year Annual Research Report
食物質による腸管上皮トランスポートソーム制御の機能的解析
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18059008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
薩 秀夫 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (80323484)
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Keywords | トランスポーター / 腸管上皮細胞 / MDR1 / pregnane X receptor / tangeretin / ginkgolide / α-リポ酸 / MRP2 |
Research Abstract |
腸管の最前線に位置する腸管上皮細胞は、栄養吸収機能やバリヤー機能、シグナル変換機能といった多様な生理機能を有するが、これらの機能には腸管上皮に存在するトランスポートソームの存在が不可欠である。本研究では主として食物質による腸管上皮トランスポートソームの制御について、昨年度に引き続き解析をすすめた。腸管上皮モデル細胞としてヒト結腸癌由来Caco-2細胞及びLS180細胞を用いた。その結果、ABCトランスポーターの一種であるMDR1(ABCB1)の活性はニガウリ抽出物によって阻害されその阻害因子の一つが1-モノパルミチンであること、1-モノパルミチンはMDR1のATPase活性を阻害することによってMDR1活性を阻害していることが明らかになった。さらにMDR1の転写を制御することが知られるPregnane X receptor(PXR)を活性化する食物質を探索したところ、tangeretin及びginkgolide A,Bといった植物由来化学成分がPXRを活性化することを見出した。実際にこれらの植物由来化学成分はMDR1のプロモーター活性、mRNA発現及びタンパク質発現、そして異物排出活性を有意に亢進することが明らかとなった。一方で近年機能性食品素材として注目を集めているα-リポ酸の腸管上皮透過機構を検討したところ、α-リポ酸はプロトン依存的なトランスポーターを介して透過していることが示唆された。またこの透過は中鎖脂肪酸によって阻害されたことから、α-リポ酸は中鎖脂肪酸のトランスポーターを介して透過していることが示唆された。並行して、α-リポ酸はMRP2といったABCトランスポーターの発現を亢進することが見出された。
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