2007 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュのイオン輸送系変異体を用いたトランスポートソームの解析
Project/Area Number |
18059010
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
広瀬 茂久 Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (10134199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 明 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助教 (40311336)
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Keywords | イオン輸送 / 塩類細胞 / ゼブラフィッシュ / アンモニア / 心臓 / V-ATPase / コネキシン / 転写因子 |
Research Abstract |
1.トランスポートソームの研究に役立つと期待される興味深いゼブラフィッシュ変異体を3種類単離した。変異体スクリーニングの戦略としては,浮腫を生じるENU変異体のうち通常の淡水から生理食塩水に移した時に浮腫が軽減・消失するものを単離し,変異遺伝子を同定すればイオン輸送系の重要な調節因子の発見につながるのではないかと考えた。生理食塩水中で最も長く生存する変異体に的を絞って解析し,以下のような結果を得た。ポジショナルクローニングによって変異遺伝子を突き止めたところ,新規のコネキシン(Cx36.7,分子サイズ36.7kDaに基づく命名)で,発生の初期では心臓の前駆細胞で特異的に発現し,筋原繊維の向きを決めるとともに,心臓の発生にかかわる転写因子Nkx2-5の発現も制御していることが明らかになった。このことは,低分子を通す単純なチャネルと考えられてきたギャップジャンクションが細胞内因子と複雑に相互作用することにより多彩な機能を発揮していることを示唆し,トランスポートソームの研究に新展開をもたらすものと期待される。 2.ゼブラフィッシュのアンモニア輸送体Rhcg1の発現部位と発現のタイミングをインサイチュハイブリダイゼーションによって決めたところ,V-ATPase を多量に含む塩類細胞(vMRC)に強く発現し,Rhcg1とV-ATPase が共役して有毒なアンモニアの排泄を行なっている可能性が強く示唆された;魚類ではアンモニアを尿素に変換せずに直接外界に捨てている。
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