2006 Fiscal Year Annual Research Report
パーキンソン病におけるセプチンスカフォールドの破綻とドパミンニューロンの障害
Project/Area Number |
18059017
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木下 専 Kyoto University, 医学研究科, 講師 (30273460)
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Keywords | 細胞骨格 / シナプス / 黒質-線条体系 / グリア細胞 / トランスポーター |
Research Abstract |
脳でよく発達したセプチン系の生理的意義を個体レベルで探索するため、成熟脳特異的サブユニットSept4に着目して逆遺伝学的手法による探索を行った。Sept4が脳の広い領域に発現することや、類似遺伝子による代償が著しいことを考慮して、Sept4欠損マウスの神経機能障害を系統的かつ網羅的に探索した。その結果、過剰な聴覚性プレパルス抑制が認められた。この異常はドパミン伝達系の機能低下を示唆するため、ドパミン受容体作動薬やドパミントランスポーター(DAT)阻害薬を用いた行動薬理学的解析によって検証した。さらに黒質から線条体に投射するドパミンニューロンを生化学的に詳細に解析したところ、ドパミン合成系の律速酵素、小胞分泌装置、ドパミン再取り込み系のDAT、DATと相互作用することが既に知られているsynucleinが前シナプス終末において種々の程度に欠乏していたが、他のシナプス蛋白質は保持されていた。また、Sept4が前シナプス終末分子群と超分子複合体を構成することも示唆された。シナプスの微細形態が電子顕微鏡レベルでも正常であったことから、ここでのセプチン集合体の役割は軸索末端の形状を維持するための細胞骨格的なものではなく、ドパミン小胞分泌・再取り込み機構をシナプス膜直下に係留ないし組織化するスカフォールドと考えられた。DAT/シヌクレイン/Sept4を含む上記の超分子複合体が、ドパミン神経軸索末端において生理的・病理的に重要なトランスポートソームの分子実体であることが明らかになった。
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