2007 Fiscal Year Annual Research Report
Ca2+活性化Cl-輸送に働くトランスポートソームの分子構成と生理機能
Project/Area Number |
18059032
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
山崎 純 Fukuoka Dental College, 歯学部, 准教授 (50230397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 和彦 福岡歯科大学, 歯学部, 准教授 (00224056)
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Keywords | Ca^<2+>活性化C1-チャネル / 上皮細胞 / CLCA / インテグリン / スプライシング / 顎下線 / 細胞接着 / 基底細胞 |
Research Abstract |
これまで申請者は、唾液生成に重要なCl^-輸送機構の空間的・時間的不均一性を明らかにする目的で、ラットからクローニングしたCLCAの組織局在と機能を調べ、タンパクの性質を強制発現系にて検討してきた。その研究過程においてラット唾液腺上皮細胞に短縮型のアイソフオームが細胞不均一に発現することが明らかになった〔truncated isoform(rCLCA-t)]。スプライシングの違い(exon9^-)による産生であろうと推測されたが、rCLCA-tの存在は従来型(rCLCA-f)の組織内局在と機能連関を検討するうえで問題になった。 そこで、rCLCA-fならびにrCLCA-tを識別する抗体を新たに作成してそれぞれの局在とその生理機能に寄与するタンパクとの関連を検討した。 1、rCLCA-fが顎下腺導管上皮細胞(分化した表面の上皮細胞)に局在するという免疫組織染色の結果、rCLCA-f遺伝子のサイレンシングによる唾液イオン組成変化の結果、さらにrCLCA-f発現細胞においてCa^<2+>活性化Cl^-透過機能充進が見られるという結果によって、rCLCA-fは唾液腺導管上皮細胞でのCl^-再吸収に寄与すると考えられた。 2、rCLCA-t(514aa.)は顎下腺排泄管基底細胞の核周囲に限局するが、分化した表面の上皮細胞には検出されなかった。強制発現系ではrCLCA-tは可溶性膜画分に検出されるが、主として核近傍に局在し、Ca^<2+>活性化Cl^-透過機能を持たなかった。興味深いことに、rCLCA-tの発現によってCa^<2+>依存的にβ1-integrinの核周囲への移行や細胞接着能の低下が起こり、特異的抗体によってβ1-integrinを活性化させることで接着能が回復した。以上から、細胞外マトリックスとのintegrin依存的な細胞接着にrCLCA-tが抑制的に働くと考えられた。以上の結果から、細胞依存的なrCLCAのスプライシングによって、異なる機能が上皮細胞に賦与される可能性が示唆された。この機構にはイオンチャネル、細胞接着因子、輸送小胞タンパク、細胞骨格などが密接に連関すると考え、分子複合体形成の可能性について現在研究を継続中である。
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