2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18060001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
川原 裕之 北海道大学, 大学院薬学研究院, 助教授 (70291151)
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Keywords | ユビキチン / プロテアソーム / 細胞外シグナル / 蛋白質分解 / ユビキチンレセプター |
Research Abstract |
線虫C.elegansはポストゲノム時代の遺伝学的研究材料として極めて優れた特長を有するモデル生物である。線虫の性分化においては、細胞外分泌性シグナル蛋白質HER-1に由来する情報を膜レセプターであるTRA-2が受容し、核内転写制御因子に伝達する情報伝達カスケードが存在し、それぞれの変異により、本来は雌雄同体である線虫が女性化(卵細胞のみを生成)、あるいは男性化(精細胞のみを生成)の表現型として顕示される。我々は最近、細胞外シグナルにコントロールされる線虫の性決定情報伝達カスケードに、ユビキチン修飾系が決定的に重要な機能を有することを世界で初めて見出し、解析をすすめている。本研究においては、性分化の決定に到る機序を、細胞外環境の変動と相互作用する協調的モジュレーションの典型モデルとして捉え、精緻に制御された細胞外環境情報の伝達機構を解明するため、細胞外リガンドの受容に応じたTRA-2レセプターの新規制御機構を理解し、細胞の発生運命を支配する新しい普遍的分子メカニズムとして統合的にこれを理解することを目指している。すなわち、1)細胞外分泌性蛋白質HER-1により規定される細胞外環境が、TRA-2の時空間的挙動(量的調節も含む)と如何に相互作用しうるかという点について、我々が世界で初めて調製に成功した優れた特異性・力価を示す抗TRA-2抗体などを駆使して明らかにしつつある、2)TRA-2の挙動が細胞外シグナルによりコントロールされる過程で、複数のユビキチンレセプター群が如何に寄与しているかを明らかにし、細胞外シグナルの受容における新しい特異性獲得の分子機構として明らかにしつつある。
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Research Products
(4 results)