2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18060006
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
馬場 忠 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 教授 (40165056)
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Keywords | 精子機能 / 子宮上皮細胞 / 受精能獲得 / 子宮卵管接合部 / マウス |
Research Abstract |
子宮卵管接合部の細胞外環境と輸卵管への精子移動制御機構と子宮での細胞外環境と精子の受精能獲得機構の解明を最終目的として研究を行い、次のような成果を得た。 精巣精細胞小胞体だけに存在するADAM1aを欠損させると、そのマウス精子は細胞表層でADAM3を同時に欠損するようになる。ADAM1a欠損マウスは子宮から輸卵管への精子移動不全のために不妊になるが、その欠損マウス精子は卵子透明帯にほとんど結合しない。そこで、まず透明帯タンパク質を利用しながらADAM3の機能ドメイン特定を行った。ディスインテグリン、システインリッチ、EGF、および細胞質テール領域を大腸菌で発現させ、透明帯結合ドメインを調べた。その結果、ディスインテグリンとEGF領域が機能していることを明確にした。現在、ディスインテグリンからEGF領域の組換え型タンパク質を用いて、排卵によって輸卵管から分泌・拡散される細胞外シグナル因子の同定を行っている。 一方、精子セリンプロテアーゼTesp5の欠損マウスを作製し、その産仔産生能を検討した。Tesp5欠損オス、メスマウスとも正常な産生能を有していたが、体外の系ではTesp5欠損精子の受精能が著しく低下していた。このため、Tesp5欠損マウス精子の子宮内注入による人工授精と自然交尾後の精子回収を行って調べてみると、野生型マウス精子と同程度の機能回復が認められた。また、体外受精で子宮分泌液を添加すると、その精子の受精能だけでなく、卵子透明帯結合能や卵子との融合能が顕著に増加した。これらの結果から、Tesp5の欠損を補償し受精能獲得に関与する因子が子宮分泌液中に存在することを明らかにした。現在、その因子の精製と同定を行っている。
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Research Products
(3 results)