2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞シナプス形成機構におけるNotchシグナルの解明
Project/Area Number |
18060012
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
富田 泰輔 東京大学, 大学院薬学系研究科, 助教授 (30292957)
|
Keywords | Notch / セクレターゼ / シナプス |
Research Abstract |
Notchシグナルが神経細胞シナプス形成に及ぼす影響について検討するため、マウス胎児より得た初代培養神経細胞と各種Notchリガンドを発現している非神経細胞と混合・共培養した。その結果NotchリガンドであるJaggedやD111を発現している細胞と共培養した場合、発現していないmock細胞と比較して著しいシナプトファイジン発現量の増加が観察された。この現象は通常のカノニカルなNotchシグナルに必要であるγセクレターゼによる切断を阻害する化合物DAPTの投与によって阻害されなかったことから、これらのNotchリガンドが起こしている現象は1)Notchレセプターに非依存性であり、未知のレセプターが関与している、2)Notchレセプターを介しているが、そのシグナル伝達様式としてγセクレターゼによる切断を必要としない、ノンカノニカルなNotchシグナルによるものである、の二つの可能性が考えられた。さらにこのシナプトファイジンの上昇は特異的な現象であり、ほかのシナプスベジクル蛋白であるシナプトタグミン、SV2、SNAP25、シナプシンでは観察されなかったことから、Notchリガンドによる刺激によってシナプトファイジンの発現のみが上昇した、もしくはそのターンオーバーに変化が引き起こされたことが推測された。またNestin-Creリコンビナーゼ発現マウスとflox Notch1マウスのかけ合わせにより、神経幹細胞特異的にNotch1シグナルを欠損したマウスを作製し、脊髄における運動神経の発生過程に異常が起きていることを見出した。さらに神経発生・シナプス形成に重要な役割を果たすことが知られているephrinBがγセクレターゼ依存性に切断を受けていること、その切断はephrinの逆方向性シグナル伝達に対してネガティブな制御をおこなっている可能性が示唆された。
|
Research Products
(2 results)