2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18060013
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
HEISSIG Beate The University of Tokyo, 医科学研究所, 産学官連携研究員特任助教 (30372931)
|
Keywords | マトリックスメタロプロテイナーゼ / プラスミノーゲン / 線維素溶解系 / プラスミン / Kit-ligand / 血管新生ニッチ / 血管内皮増殖因子 / 組織型プラスミノーゲンアクチベーター |
Research Abstract |
本研究では、骨髄内外の細胞動員あるいは浸潤を制御するマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)活性化機構における線維素溶解系(線溶系)因子プラスミノーゲン(Plg)/プラスミンの機能解析、また骨髄由来細胞の動員ないしは生着過程における骨髄内細胞外環境構成の解明を目標としている。今年度、研究代表者らはまずPlg遺伝子欠損マウス(Plg-/-)とその野生型を使用し、生体骨髄中のストローマを主とした微小環境において潜在酵素ProMMPからのMMPの生成が、Plg/プラスミン系によって制御されていることを確認した。さらにこれらのマウスに一定量の抗がん剤を投与した際、Plg-/-では骨髄組識再生に著しい障害が存在し、生存率にも有意な差が生じること、さらにこの原因としてPlg-/-生体の細胞外環境を構成する骨髄ストローマでは、MMPの活性化障害とこれに伴う造血因子Kit-ligandのプロセシングが抑制されていることを明らかにした。これらの実験結果から代表者らは、組織型Plgアクチベーター(tPA)を使用することによる線溶系の活性化を通じて、MMP活性化、Kit-ligand分泌の亢進を誘導し、骨髄ストローマの活性化と骨髄細胞の分化増殖が促進されることを示した。本研究によって生体内における線溶系の亢進は、MMPの活性化に直結すること、Kit-ligand等の細胞増殖因子の分泌、さらには血管新生、組織再生を促進していること、また前年度で報告した各種組織再生関連ニッチの構成細胞の末梢組織への動員及び浸潤も線溶系因子の活性化によって制御されている可能性も示唆された。従って本研究成果は、骨髄内の細胞外環境が、生体に加わる様々な生理学的ストレスに対応して、骨髄細胞の分化増殖を制御する生命機能維持中枢の一翼、生体内ホメオスタシス維持機能を担っていることを証明したと言える。
|
Research Products
(11 results)