2006 Fiscal Year Annual Research Report
MT1-MMPによる細胞-細胞外マトリックス間のクロストーク制御機構の解析
Project/Area Number |
18060015
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
佐藤 博 金沢大学, がん研究所, 教授 (00115239)
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Keywords | MT1-MMP / 細胞外マトリックス / TIMP-2 / APP / ERK / FAK / 細胞接着斑 / 細胞運動 |
Research Abstract |
MT1-MMP1の新規基質の同定 膜型マトリックスメタロプロテアーゼー1(MT1-MMP)の新規基質としてβアミロイド前駆体タンパク(APP)のαセクレターゼであることを見出した。APPはMT1-MMPにより切断を受けることにより細胞内領域は核へ移行し、転写制御に関わることを示した。しかし、この切断によりアルツハイマー病の原因となるβアミロイドペプチドの産生は低下しなかった。 TIMI1-2によるMT1-MMP基質特異性の選択 Tissue Inhibitor of MMP-2(TIMP-2)はMT1-MMPの阻害因子であると共にMMP-2活性化に必須である。今回、TIMP-2濃度によりMT1-MMPは細胞外マトリックス(ECM)成分などの切断・分解あるいはMMP-2活性化が選択されることを明らかにした。 MT1-MMPによる細胞-ECMクロストークの調節 MT1-MMPを発現しているHT1080細胞のECM上での細胞運動はMMP阻害剤により抑制され、同時にECM分解の減少と細胞接着斑の肥大化も認められた。MT1-MMPの過剰発現はECM分解、細胞運動と細胞接着斑のターンオーバーの亢進を誘導し、MT1-MMP活性を阻害することでその抑制が認められた。HT1080細胞のMMP阻害剤処理は細胞接着により誘導されるERK活性化を抑制する一方で、FAKの自己リン酸化を亢進していた。よって、MT1-MMPによるECM分解は、細胞接着斑の安定性・ターンオーバーを制御することによりERK活性化、FAK自己リン酸化を調節し、細胞運動を制御していることが明らかとなった。
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