2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経ガイダンス分子セマフォリンによるインテグリン活性調節機構の解析
Project/Area Number |
18060018
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 裕教 京都大学, 生命科学研究科, 助教授 (50303847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根岸 学 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (60201696)
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Keywords | シグナル伝達 / 細胞・組織 / 発生・分化 |
Research Abstract |
セマフォリンは代表的な軸索ガイダンス分子であり、様々な神経軸索に対し反発作用を引き起こす。我々はこれまでに、Plexin-B1の細胞内領域が低分子量G蛋白質R-Rasに対するGAPを直接コードしていることを見出し、このR-Rasに対するGAP活性がセマフォリン4Dによる神経細胞の成長円錐の崩壊に必須であることを明らかにした。今回我々は、これまでの報告からR-Rasがインテグリンの活性化を引き起こすことに着目し、Plexin-B1が活性化されるとR-Rasの活性を抑制することで、インテグリンの活性化を抑制し、細胞の運動を制御している可能性を検討した。その結果、COS細胞を用いたtranswell assay系において、ファイブロネクチン依存的な細胞運動がPlexin-B1のリガンドであるSemaphorin 4Dにより抑制されることを見出した。このSemaphorin 4Dによる細胞運動の抑制には、Plexin-B1のR-Ras GAP活性が必要であった。さらに詳細に解析したところ、ファイブロネクチン刺激によるβ1インテグリンの活性化にはR-Rasの活性が必要不可欠であり、そのR-Rasの活性化がPlexin-B1のR-Ras GAP活性を介して抑制されることで、β1インテグリンの活性化、さらにはFAKのリン酸化などのβ1インテグリンの活性化に伴って引き起こされる細胞内シグナルが抑制されることを見出した。またR-Rasによるβ1インテグリンの活性化にはPI 3-kinaseの働きが重要であることも今回明らかとなった。これらの結果は内在性のPlexin-B1を持つPC12細胞においても確認された。以上の結果から、インテグリンの活性制御にR-RasとPlexin-B1が関与しており、Plexin-B1のR-Ras GAP活性によるβ1インテグリンの活性制御が細胞運動の調節に重要な役割を担っていると考えられる。
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