2006 Fiscal Year Annual Research Report
精子幹細胞のニッシェへのホーミングに関わる分子機構の解明
Project/Area Number |
18060022
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
篠原 美都 京都大学, 医学研究科, 助手 (10372591)
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Keywords | 移植・再生医療 / バイオテクノロジー / 発生・分化 |
Research Abstract |
研究代表者らは2003年に精子形成の源である精子幹細胞の長期培養に成功し、これをGermline stem(GS)細胞と名付けた。本研究の目的は精子幹細胞のニッシェへのホーミングに関与する分子を同定することである。 18年度の研究ではGS細胞の表面分子をマイクロアレイとシグナルシークエンストラップ法で同定し、ホーミングに関与する候補分子を新たに同定し、変異マウスや中和抗体を利用してアッセイした。 解析の結果、(1)基底膜との接着に必要なIntegrin、(2)血液幹細胞にも発現し、始原生殖細胞の遊走にも関与しているCXCR-4(SDF-1のリセプター)、(3)セルトリ細胞に発現するSCFの受容体であるc-kit(4)血液幹細胞にも発現しているCD44,(5)E-cadherinなどがGS細胞に発現していることを認め、ケモタキシスアッセイを行い、GS細胞の遊走の効率を判定したが、有意な差は認められなかった。次に中和抗体や阻害剤を用いてGS細胞もしくは精巣細胞の精細管への移植時に同時にco-injectionを行ったが、移植効率に有意な差は認められなかった。 研究代表者らは液性因子や中和抗体・阻害剤が拡散したため安定した効果が得られない可能性が高いと考えた。分子の関与を的確に評価するため遺伝子ノックアウトマウスを用いた解析が必要であるため、in vitroでCreによるrecombinationを促す実験系の確立を目指した。ROSA26-Creレポーターマウスより精巣細胞を採取し、これにCreを発現するアデノウイルスベクター(AxCANCre)を導入した後、精巣へ移植したところ、3ヶ月後にLacZを発現するコロニーの形成が見られた。またサザンブロットによりrecombinationがさらに3世代にわたって伝達されていることが分かった。
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