2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヘパラン硫酸プロテオグリカンによる増殖因子HB-EGFの生理活性制御機構の解明
Project/Area Number |
18060028
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩本 亮 Osaka University, 微生物病研究所, 准教授 (10213323)
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Keywords | 細胞・組織 / 発生・分化 / 増殖因子 / 細胞外マトリックス / 細胞外環境 |
Research Abstract |
HB-EGFはEGFフアミリーに属するヘパリン結合性の増殖因子である。我々は最近、HB-EGFのヘパリン結合ドメイン(HBD)を欠失させヘパラン硫酸(HS)との結合能を失わせた変異HB-EGFを発現するノックインマウス(ΔHBマウス)を作製したところ、このマウスがHB-EGF KOマウスと同様に、心臓弁形成段階で間質細胞の過増殖による心臓弁肥厚を引き起こすことを見いだした。このことはHB-EGFによる細胞増殖抑制機能発揮における、HB-EGFとHSプロテオグリカン(HSPG)との相互作用の生理的重要性を強く示唆するものである。そこで本研究では、このマウス心臓弁形成過程に焦点を当て、HB-EGFによる細胞増殖抑制におけるHB-EGFとHSPGの相互作用の機構と意義の解明を目的としている。HSPGによるHB-EGF機能制御機構を分子的に解析するため、昨年度は心臓器官培養系による解析を行ったが、今年度は心臓弁間質細胞の初代培養系を立ち上げ、その解析を行った。その結果、1)KO及びΔHBマウス胎仔由来弁間質細胞の増殖性昂進、2)野生型マウス胎仔由来弁間質細胞に対するEGFR阻害剤添加による細胞増殖性昂進、3)野生型マウス胎仔由来弁間質細胞に対するヘパリン添加による細胞増殖性昂進、4)KOマウス胎仔由来弁間質細胞に対するリコンビナントHB-EGFあるいは変異ΔHB蛋白添加によるレスキュー、などのことを確認した。これらの結果から、HB-EGFによる弁間質細胞の増殖抑制はEGFRシグナルを介しており、HSPGとの相互作用が必須であることが明らかとなった。さらに、発生過程の心臓弁間質におけるHB-EGFと相互作用するHSPGの同定を目的として、レーザーマイクロダイセクション(LMD)法によって弁間質組織からRNAを調整し、各種HSPGに対するRT-PCRを行ったところ、シンデカン、グリピカン、パールカンなどを含む少なくとも9種類以上のHSPGsが発生過程の弁間質で発現していることが分かつた。
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