2006 Fiscal Year Annual Research Report
器官形成を支える細胞移動とそれを制御する細胞外環境
Project/Area Number |
18060029
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
高橋 淑子 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (10183857)
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Keywords | 血管形成 / ケモカイン / CXCR4 / 体節 / 細胞移動 / 肋間血管 |
Research Abstract |
血管ネットワークは、体の生理機能の発揮と維持にとって、もっとも重要な器官である。血管形成のしくみに関しては、血管内皮細胞の分化機構はよく解析されているが、3次元的パターンをとるネットワークが体の中でどのように構築されるのかはほとんどわかっていない。そこで本研究では、これらの問題を、血管パターニングとそれを制御する細胞外環境という観点から解析している。 ケモカインSDF1とその受容体CXCR4は、もとは白血球の誘因因子として同定され、現在では、個体発生時にみられるさまざまな細胞の挙動を制御している分子として広く知られている。我々はこれまでに、初期胚を用いたシグナルシークエンストラップ法を用いてCXCR4を見出し(1)、またこの分子が初期体節において特異的な発現パターンを呈すること観察している。平成18年度においては、CXCR4のノックアウトマウスの解析を行った(ノックアウトは京都大学の長澤教授より供与され、現在奈良先端大学にてコロニーを維持している)。ノックアウトマウスでは、主な体節由来の組織である中軸骨格(脊椎骨、肋骨など)には影響はみられなかった。ところが、肋間血管の重篤な形成不全が認められた。肋間血管は背側大動脈につながる動脈であり、体節由来の組織である。そこで次に、体節細胞のどのような挙動が肋間血管形成に関与するのかについて解析した。このような目的にはトリ胚の方が適切であるため、トリ胚の体節にCXCR4を強制発現させる系を確立した。CXCR4を強制発現された体節細胞は、まず背側大動脈方向に、その後、肋間血管方向に移動する様子が観察さている。現在、これらの細胞挙動の詳細な制御機構について解析中である。 (1)Tonegawa, A., Kasai, T., and *Takahashi, Y. (2003) Systematic screening for signaling molecules expressed during somitogenesis by the signal sequence trap method. Dev. Biol. 262: 32-50.
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Research Products
(9 results)