2006 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外マトリックス構築と細胞へのシグナル伝達制御におけるバーシカンの役割
Project/Area Number |
18060042
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
渡辺 秀人 愛知医科大学, 分子医科学研究所, 助教授 (90240514)
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Keywords | プロテオグリカン / マトリックス / 糖鎖 / 遺伝子改変マウス / バーシカン |
Research Abstract |
バーシカンコンディショナルナックアウトマウスの作製に関しては、間充織特異的にバーシカン発現を欠失するマウスを作製し、現在解析している。その他のコンディショナルノックアウトマウスも順次作製中である。その期間に関連するものとして以下の研究成果を得た。 1.バーシカンのG1ドメイン内のAサブドメインを欠失したノックインマウスの解析を行い、同マウスが胎生期10.5・出生までの間に心形成不全によって死亡することを見出した。同マウスでは心臓の基本構造の形成に異常はないが、心室壁の拡張が観察され、これに伴う心不全が死因と考えられた。心拡張発症機構に関しては、細胞外マトリックス内のBMPとTGFbetaの貯留量およびこれら分子のシグナル伝達の異常にもとつく心筋細胞の分化障害が原因と考えられた(論文投稿中)。 2.バーシカンの軟骨分化初期間充織凝集における役割をN1511細胞培養系を用いて検討し、同分子のコンドロイチン硫酸(chondroitin sulfate, CS)鎖が軟骨細胞の分化を促進することを明らかにした(Kamiya, N., et al., J Biol Chem, 2006)。 3.バーシカンは軟骨に微量に存在することが知られている。関節軟骨のバーシカンを精製し性状解析を行ったところ、同分子がリンクタンパク質、ピアルロン酸とともに会合体を形成していること、同分子が持つCSはアグリカンと比較して硫酸修飾の程度が低いことを明らかにした(Matsumoto, K.., et al., J Biol Chem, 2006)。 4.軟骨は多量のコンドロイチン硫酸プロテオグリカンを含む。軟骨細胞のCS合成を司る糖転移酵素群に関して検討し、CS N-アセチルガラクトサミン転移酵素-1(CSGalNAcT-1)がCS合成の鍵を握る酵素であることを明らかにした(Sakai, K.., et al., J Biol Chem., 2007)。
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