2007 Fiscal Year Annual Research Report
嗅神経回路形成におけるプロテアーゼを含む細胞外マトリックスに関する研究
Project/Area Number |
18060043
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
内匠 透 Osaka Bioscience Institute, 神経科学部門, 研究室長 (00222092)
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Keywords | 細胞・組織 / 神経科学 / 蛋白質 / 脳・神経 / 発生・分化 |
Research Abstract |
Fez2は、嗅上皮及び視床下部に特異的に発現するzinc-finger型転写因子である。本研究は、Fez2ノックアウトマウスのトランスクリプトーム解析で得られた細胞外マトリックス分子に焦点をあて、これら細胞外マトリックス分子のin vivoでの生理的機能を明らかにすることを目的とする。 匂いを受容する嗅神経は嗅上皮に存在し、脳の嗅球と神経連絡を形成し、発達期のみならず成体においても神経新生を行う神経として知られている。この神経伸張は性腺刺激ホルモン神経の伸張とも関与しており、ヒトのおけるこれらの神経伸張の異常はKallmann症候群を引き起こす。 Fez2欠損マウスの嗅神経では嗅球へ軸索が到達せず、これは軸索が胎生12.5日(E12.5)で嗅球表面の基底膜を貫通できないためであることが免疫組織染色で分かった。基底膜のモデルであるマトリゲル中で嗅上皮組織片を培養すると、Fez2欠損マウスの嗅神経では軸索が野生型より短くなり、軸索の基底膜分解能の低下が示唆された。さらに嗅上皮-嗅球共培養系において、基底膜を含む髄膜を除くと嗅神経の軸索伸張がレスキューされた。嗅上皮を用いたマイクロアレイの結果、セリンプロテアーゼを含む細胞外マトリックス分子の発現がFez2欠損マウスにおいてほぼ消失していることが分かった。 以上より本研究では、嗅神経軸索が嗅球へ到達する過程で、嗅球表面の基底膜を分解する際にFez2が重要な働きをすることが分かった。
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