2008 Fiscal Year Annual Research Report
高密度格子欠陥を有する物質・材料のマイクロダイナミクス解析
Project/Area Number |
18062004
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中谷 彰宏 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授 (50252606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下川 智嗣 金沢大学, 機械工学系, 講師 (40361977)
齋藤 賢一 関西大学, システム理工学部, 准教授 (90294032)
松島 亘志 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 准教授 (60251625)
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Keywords | 巨大ひずみ / 計算力学 / 分子動力学法 / 格子欠陥 / 多結晶体 / 離散転位動力学法 / 粒子法 / 結晶粒界 |
Research Abstract |
分子動力学解析を基本に、粒子法・個別要素法による解析からフェースフィールド塑性力学解析までをシームレスに結びつけるマルチスケールメゾスコピック塑性力学モデルを開発し、巨大ひずみ付与により創製される材料が示す特異力学特性(高強度と高延性の両立、室温における顕著なひずみ速度依存性、Hall-Petch係数の粒径依存性)の発現メカニズムを、高密度欠陥を有する内部構造の時間発展の観点から統一的に理解することを目的とし、実施計画に基づき以下の研究を実施した。(1)原子レベルの変形シミュレーションを行い、欠陥構造の時間発展と巨視的力学特性の関係を明らかにした。(2)転位と回位の弾性論を用いた階層的格子欠陥モデルを構築し、粒界と転位の相互作用場の解析を行い、微細粒組織の形成や変形能に関連する粒回転に対する駆動力が多結晶体の結晶粒間の拘束に依存することを定量的に示した。(3)き裂と粒界を含む系の分子動力学シミュレーションにより、粒内の転位が粒界転位と相互作用することにより、粒界が転位源となって多数の転位を発生する機構を発見した。この結果は超微細粒材料の延性ぜい性遷移温度が小さくなるという実験事実を説明できるものである。(4)巨大ひずみ場における対称粒界の挙動の分子動力学法、および、塑性仕事を基準とする結晶粒微細化過程を組み込んだ巨大ひずみ加工のSPHシミュレーションを行い、実験結果と定性的に対応する材料の流れを得た。(5)ひずみこう配理論を組み込んだ結晶塑性論を定式化し、同理論を組み込んだSPHシミュレーションにより、強ひずみ加工多結晶金属の降伏応力増加(結晶粒微細化強化)のメカニズムを明らかにした。以上の結果から、分子動力学法から離散転位塑性論さらには結晶塑性論までの空間・時間スケールを越える現象を解明するために有効なマルチスケールモデリングには、欠陥の相互作用に着目した理論が有効であることを示した。
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