2008 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理量子論によるナノデバイス材料・界面の物性予測
Project/Area Number |
18063003
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
白石 賢二 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (20334039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 晋 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (70302388)
押山 淳 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (80143361)
中山 隆史 千葉大学, 理学部, 教授 (70189075)
村口 正和 東北大学, 学際科学国際高等研究センター, 教育研究支援者 (90386623)
山内 淳 慶応義塾大学, 理工学部, 講師 (90383984)
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Keywords | 理論 / ナノサイエンス / 界面 / 新材料 / 第一原理計算 / 半導体デバイス |
Research Abstract |
平成20年はシリサイド界面形成過程、ナノ構造における電子の動的過程等の研究を行い有用な結果が得られた。 シリサイド形成の研究では、Ni、Ti、Au、Al、Mg、及びFeに対してシリサイド形成機構を第一原理計算で考察した。具体的には、シリサイド形成に関する金属種依存性の起源、およびSi基板上での安定なシリサイド相の組成依存性を検討した。その結果、Ni、Tiにおいては、Siのp軌道から金属原子のd軌道への電子移動がシリサイド相安定化の起源であることを明らかにした。一方、Auはd軌道が既に占有であるため、Alはd軌道がないため有効な安定化をしないことも解明した。また、MgやFeは特別な結晶構造を取ることで半導体になることがわかった。さらに、Si基板上では歪と界面結合の整合度により、一部の組成相は不安定になることも指摘した。 ナノ構造における電子動的過程の研究では、これまでにない知見が得られた。2次元電子ガスからSiナノドットへの電子注入において、従来はないとされてきた直接トンネル領域で温度依存を示すことを見出した。この現象は、個々の電子の運動を理解することによって初めて理解出来る現象の一つの例であると考えられる。実験結果を理論的に考察するために、我々は、半導体デバイス中における電子の動力学をモンテカルロ計算、および時間依存シュレディンガー方程式を数値的に解くことで検討した。その結果、これまで熱浴として扱われてきた2次元電子ガス中での電子の運動が、トンネル過程に大きな影響を与え、電子注入の温度依存性の主な原因となりうることを見出した。
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