2009 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理量子論によるナノデバイス材料・界面の物性予測
Project/Area Number |
18063003
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
白石 賢二 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (20334039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 晋 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (70302388)
押山 淳 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (80143361)
中山 隆史 千葉大学, 理学部, 教授 (70189075)
村口 正和 東北大学, 学際科学国際高等研究センター, 教育研究支援者 (90386623)
山内 淳 慶応義塾大学, 理工学部, 講師 (90383984)
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Keywords | 理論 / ナノサイエンス / 界面 / 新材料 / 第一原理計算 / 半導体デバイス |
Research Abstract |
本研究の目的は、ポストスケーリング時代に不可欠となる「ナノスケール界面」と「新奇ナノ材料」に関する基礎的知見を、第一原理量子論等によって獲得し、ポストスケーリング時代のデバイス開発にブレークスルーを与えることである。21年度は、(1)次元の異なるナノ構造間のトンネル現象の新しい物理描像の開拓、(2)超大規模第一原理計算によるシリコンナノ構造の電子構造の解明、(3)書き込み/消去耐性が強いMONOS型メモリの設計指針の提案、(4)グラフェンを用いた電子構造の理論設計、等で大きな成果が得られた。具体的には、2次元電子ガスからSiナノドットへの電子注入が、従来はないとされてきた直接トンネル領域で温度依存を示すことを見出した。この特異な温度依存性を説明するには現時点では以下のような「大胆な仮定」が必要となっている。「十分量子ドットの真下で局在し、あるしきい値以上のトンネル確率をもつ波動関数だけが直接トンネルに寄与する」。上記のようなトンネル確率の下限が存在するという仮定がなぜ必要となるかは今後の課題であるが、トンネル確率の下限は実験における電圧の掃引レートに依存することも実験的に示した。MONOS型メモリの研究においては、(1)酸素混入欠陥はメモリ機能の劣化を引き起こすのに対し、(2)窒素空孔欠陥はメモリ機能の劣化を引き起こさないことを明らかにし、窒素空孔欠陥がデータの書込・消去によって引き起こす構造変化はヤン・テラー効果に伴う自発的対称性の破れであるため、原理的に可逆的であることも示した。グラフェンを用いた電子構造の理論設計においては、例えばシート状BN上にグラフェンを載せても、BNとの相互作用により、non-bonding的な特徴は消失しバンドギャップが生じることを明らかにした。この特徴は一般的で、欠陥の導入、原子の吸着等によっても同様のことが起こる。
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Research Products
(26 results)