2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18063004
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐野 伸行 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 助教授 (90282334)
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Keywords | 半導体デバイス / デバイス・シミュレーション / モンテカルロ法 / 非平衡グリーン関数法 / ボルツマン方程式 / 電子輸送 / 量子輸送 / 特性ばらつき |
Research Abstract |
集積化に向けた最近の大きな未解決問題として、ナノスケール素子における特性揺らぎが注目されている。これら特性揺らぎの物理的起源は、電流に関与する電子や基盤に含まれるイオン化不純物が少数となり、これらの電荷の作る微視的なクーロン・ポテンシャル揺らぎによって電流パスが素子ごとにばらつくことにある。しかしながら、長距離にわたるクーロン・ポテンシャルのデバイス・シミュレーションへの組み込みは未解決問題である。 そこで本年度は、半古典的モンテカルロ法を用いた3次元粒子シミュレーションへの電子間および電子不純物間クーロン相互作用の正確な組み込みを目指した。電子輸送におけるクーロン・ポテンシャルの役割は、電子の集団運動に寄与する長距離効果とランダムな熱運動に寄与する短距離効果に切り分けて考える事ができることから、長距離クーロン相互作用はPoisson方程式を用いて考慮し、短距離成分は遮蔽されたクーロン・ポテンシャルを摂動とした量子力学的散乱機構として組み込んだ。その際、チャネルに局在する不純物のための新たな散乱モデルを構築し、3次元粒子シミュレータに導入した。また、量子論的評価を目指して、簡略化した(1次元)デバイス構造のもとでの非平衡グリーン関数法を用いたシミュレーション解析も開始した。具体的には、ボルツマン描像の計算結果と散逸を含めた量子論的計算結果を直接比較検討するために、緩和時間近似のもとでのシミュレータを構築している。現在、散逸効果を拡散層に導入するためのシミュレータの拡張を進めており、来年度は非平衡グリーン関数法の解析手法の正当性の検証も含めて検討を進める予定である。
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Research Products
(4 results)