2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18063004
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐野 伸行 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (90282334)
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Keywords | デバイス・シミュレーション / 半導体デバイス / 電子輸送 / クーロン相互作用 / モンテカルロ法 / 半導体物性 / ボルツマン輸送方程式 |
Research Abstract |
集積化に向けての最も重要な未解決問題として、ナノスケール素子における特性揺らぎが注目されている。特性揺らぎの物理的起源は、電流に関与する電子や基盤に含まれるイオン化不純物が少数となって作る微視的なクーロン・ポテンシャル揺らぎであり、それによって電流パスが素子ごとにばらつく。しかしながら、長距離にわたるクーロン・ポテンシャルのデバイス・シミュレーションへの組み込みは、ナノスケールでのチャネル領域での量子効果とともに未解決問題である。そこで、本研究では、不純物や電子による長距離クーロン・ポテンシャルとナノスケールで発現する電子の量子性を厳密に考慮したデバイス・シミュレータを構築し、ナノスケール素子の特性解析を高精度に行うことを目的とする。 具体的には、以下の2点について検討を進めた。 (1) クーロン相互作用の導入が完了した3次元粒子シミュレータを用いて、離散的なイオン化不純物をさまざまに空間的に偏在させることで、電子輸送への影響を解析した。その結果、高濃度領域で不純物が空間的に偏在する場合は、ランダムに分布するときに比べて移動度が大幅に低下することを見出した。 (2) 非平衡グリーン関数法を用いた量子的シミュレーションに関しては、現実的なフォノン相互作用ハミルトニアンを用いた散乱散逸効果をデバイス構造全域に渡って導入し、散逸に伴った位相緩和、デバイス特性、境界条件の整合性、等について検討した。その結果、散逸効果に伴った位相緩和を考慮した場合では電流値が大幅に減少し、高濃度領域での散逸効果がナノスケールデバイスで重要となることを見出した。
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Research Products
(4 results)