2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18063010
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
田部 道晴 Shizuoka University, 電子工学研究所, 教授 (80262799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 浩也 静岡大学, 電子工学研究所, 准教授 (00262882)
猪川 洋 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (50393757)
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Keywords | 電子デバイス・機器 / 電子・電気材料 / トンネル現象 / シリコンナノデバイス |
Research Abstract |
本研究では、単電子輸送過程を制御した新機能デバイスを開拓し、ポストスケーリングへの展開を図ることを目的とする。特に多重トンネル接合をチャネルとするSOI-MOSFETをデバイスの基本構造として、フォトンの利用、および個々のドーパントポテンシャルを利用した単電子転送の実現を目指す。昨年度の実績は次のとおりである。 (1) フォトン照射効果 上部ゲートをもたないPドープSOI-MOSFETに、可視光を分光照射した。λ=525nmを異なるフォトンフラックスで照射したところ、ランダムテレグラフ特性が得られた。電流レベルの切り替わり頻度は、概ねフォトン数に比例しており、ドーパントFETがフォトン感度をもつことが明らかとなった。 (2) ランダム系の単電子転送機能 これまで、PドープSOI-MOSFETはランダムな配置にも関わらず、単電子転送機能をもつことを示してきた。今回、少数個のPドナーによる3ドット系FETを抽出し、Vbgによりクーロンダイヤモンドの重なりを調節して単電子転送機能を実現した。 (3) 多数ドナー環境における単一ドナーの効果 少数個のドーパントをチャネルに導入してデバイス特性を制御することは現時点では困難である。そこで、チャネル部に多数のPドナーが存在する条件でも単一のドナーで特性が決まる可能性を調べた。Isd-Vf9特性を統計的に調べたところ、そこに現れる電流ピークは、チャネル長が短ければ統計的に1個のドナー原子で決まることを見出した。 (4) 低温KFMによる単一電子の観測 上記のようなドーパントポテンシャルを利用したFETの研究を進展させるためには、実際にチャネル中の個々のドーパントと電子トラップ状態を測定する手法を確立する必要がある。我々は、これまで単一PおよびBイオンの観測に成功した。21年度は、チャネルに電流を流し、Pドナーに電子がトラップされた状態を観測することができた。
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